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第7話 ユグドラシル



人間VS感染症


対策しながら観戦しよう。





すいません。



『フン、やはりな。貴様のスキルは発動から効果反映までの時間が限りなく0に近い。普通の分解スキルなら発動中に攻撃されてしまうからな。』



なるほど、分解のスキルホルダーが戦闘に向かないのにはそんな背景があったのか。


そりゃ一分も発動から分解にラグが生じればよっぽど身体能力が高くない限り戦闘では使えないな。

それに常に動く敵の全分解のイメージを攻撃を避けながら一分間続けるのは不可能に近い。



「まじかよ。そんなスキルだったのか。」



俺は、もっと試行錯誤すべきだったのかもしれない。もし最初から分かっていればロゼと一緒に村に帰れたかもしれない。

後悔は多いが、使い方を知らなかったおかげで大きな出会いもあった。

プラスマイナスゼロってとこだな。

逆に後悔よりも今は使い方を教えてもらえたことに感謝すべきだな。



「俺、スキルの事で悩んでたんだ。そんな時、トールに勧められて冒険者になってこうしてフェンリルにもスキルの使い方を教えてもらえて本当に助かったよ。ありがとう。」



少し頭を下げてフェンリルに感謝を告げた。



『フン!まぁ取引のためだ。貴様がそのスキルの熟練度を高めれば我でもかなわんからな。使用法のアドバイスは貸ひとつという事にしておこう。』



俺のスキルは、コイツに勝るほどに育つというのか?

確かに対象の要素のイメージを手っ取り早く出来ればほとんどの魔物は瞬殺かもしれないが、コイツにはスキル発動前に殺されそうだ。

万が一のために貸しにしてくる当り抜かりねぇな。

流石は何千年も生きてきた知恵ってか?



「それで?何処にその少女とやらはいるんだ?」



俺は、キラーベアの討伐証明のための爪を剥ぎ取りながらフェンリルに尋ねる。

ちなみに一体からいくつも爪をとり、何倍もの報酬を...ということは出来ない。

ギルドお抱えの『真実』のスキルホルダーがいるからだ。

嘘を見抜くスキルである『真実』もそこそこ珍しいスキルである。



『世界樹ユグドラシルにいる。さっさといくぞ。』



「世界樹ユグドラシルだと?まじかよ、伝説上のものじゃなかったのか.........」



世界樹ユグドラシルといえば、子供の頃に必ずと言っていいほど読み聞かせられる絵本に出てくる場所だ。

まさか本当にあったとはな…



「でも、どうやってそこまで行くんだ?人間の地図ではユグドラシルなんて見たことないぞ?」



『いくつか抜け道がある。この森にも入口は一つ存在する。』



抜け道なんてあるのか。

よく今の今まで人間に見つからなかったな。

この森なんて魔物も弱いし、抜け道なんてすぐに見つかりそうだけどな。



『ついてこい。』



フェンリルは、そう言って森の中に入っていったので、俺もフェンリルの後ろを遅れないようについて行く。







ある程度奥に進んだところでフェンリルが足を止める。



『ここが入り口だ。』



フェンリルが足を止めたのは、周りの木々よりもふたまわり以上大きな大木の前だった。



「ここ?この木のことか?」



辺りを見回しても抜け道らしきものは見当たらない。



『ああ、ユグドラシルの所には相応しき者しか立ち入ることを許されない。相応しき者ならばこの大木を媒介にして世界樹の地に行ける。』



「つまり、相応しい者ならあの大木に突っ込むことでユグドラシルに行けるってことか。」



9と4分の〇番線?

いや、まあ確かにこれなら人間に見つからないのも納得だわ。



『我に乗れ。お前ではまだ力が足りない。』



でしょうね。一朝一夕で入れる場所ではない事くらい分かっている。

わかってはいたが少しだけ悔しい気持ちになりながらフェンリルに跨った。



「え?何これクソ気持ちいいんだけど。」



フェンリルの背中は、上質な毛並みが程よくモフモフしており、動物らしい温かさと相まってかなり気持ちが良かった。

あまりの気持ち良さに少しの悔しさが吹っ飛んでしまう。


決めたわ。俺ここに住むわ。



『行くぞ。しっかり掴まっておけよ。』



フェンリルは大木に向かって走り始めた。

軽い足取りでフェンリルはどんどん加速していく。

え?この速度大木に当たったら死ぬくね?

ま、ここで死ねるなら良いかも知れないな。



なんて馬鹿な事を考えていると大木が目の前まで迫っていた。

俺は咄嗟に目を瞑った。





ぶつかった感触はない。どうやら入れたみたいだ。







―――ゆっくりと目を開けるとそこには一本の大樹があった。それは大木と呼ばれるような木とは比にならない大きさのまさに世界樹であった。一面の花畑の中心にそびえるその大樹にはここが天国だと言われても納得するほどの神秘的な美しさがあった。―――



「こ、これが『世界樹ユグドラシル』.........。」



その大樹の根本では一人の白の少女が眠っているのだった。









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