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第5話 取引




最近家の水が出なくなって家族みんな困ってるんですよ。






あ、うちの家族水いらずでした。










『フェンリル』

伝説級の魔物であり危険度はSSSランクだ。

何千年も前から個体が確認されているが未だ、複数の個体は確認されていない。

その美しさや珍しさからフェンリルに遭遇することに人生を費やす者もいるという。


フェンリルと目があい、身体中を押さえつけられた様な錯覚に陥る。

戦闘になったら勝つことはおろか触れることすら出来ないだろう。

こんなとこで命を捨てるわけにはいかない。



俺は、生き延びるための方法を脳をフルに使って考える。

逃げるか?、いや到底逃げきれやしない俺は最底辺冒険者かたや相手は伝説級の魔物だ。

戦うか?、論外だ。目が合うだけで身動きがとれない相手に勝機はない。



『おい、人間よ。貴様おもしろいスキルをもっているな。』



なっ!


身動きがとれず、次の手を考えていた俺にフェンリルが人間語で話しかけてきた。

威厳のある重たい声色は何千年も生きてきた伝説に相応しいものだ。



「お、まえ、人間の、言葉を話せ、るのか?」



詰まりながらも辛うじて出せる声で俺は答える。

魔物が人の言葉を話すなど聞いた事がない。

恐らくそんな記録はどこにも無いだろう。


魔物と人間が通じあうなどせいぜいモンスターテイマーのテレパシー位であると思っていた。

それももちろん言葉を話す訳ではなく魔物の喜怒哀楽が分かる程度だ。



『無数の人間共を葬ってきたうちに自然と覚えていただけの事だ。』



「な、にが、目的、だ?」



俺を殺そうと思えば数秒足らずで出来るはずだ。だが、こいつが俺に話しかけてきたということは少なくともまだ俺には希望はあるのかもしれない。



『人間よ、我と取引をしないか?』



思ってもいない提案だった。

取引を持ちかける時は基本的に持ちかけた側に少なからずのメリットがある場合だ。

駆け出しの冒険者の中でもスキルが使えず弱い部類に入る俺がフェンリルに利益をもたらせるわけが無い。



「内容、を言え。」



『何?簡単なことよ。我は貴様をここで見逃してやる。貴様はスキルを使ってある少女の病気を治す。ただそれだけの事だ。』



何を言っているんだ、こいつは。



「俺の、スキルは外れ、で何も出来、ないぞ?」



そうだ。ご存知の通り分解系のスキルで有りながらスキルの使用による対象への変化は何もなかった。



『貴様は何を言っているのだ?貴様のスキルは矮小な人間にしては些か大きすぎる力だが。』



本当に何を言ってるんだ?

半永久的な時を生きて頭がラリったのか?



「そも、そも、何故俺の、スキルが、分かる?」



というかいい加減威圧をやめて欲しいんだが?



『我のスキルの一つ「神獣の目」による物だ。貴様ら人間のもつスキル「鑑定」よりも精度の高いものだ。』



―――なっっ!?


俺の、スキルが、強力だと?

そんな馬鹿な話があるか。何度試したと思ってる。



「そん、なはずは、ない、何度も試した。一度も、スキルは、成功しなかった!」



俺はあの時の事を思い出す。未確認のスキルに初めは多くが期待した。

だが、スキルが使えないと分かるとすぐにその期待は失望に変わった。

あの時のオッサンどもの顔、見下したような目、俺は自分が情けないのと同時に悔しかった。



『貴様は恐らくそのスキルを誤解している。』



なん、だと?

スキルは術者のイメージとスキル能力が一致した時に発動する。

俺はあの時、対象を分解する様にイメージしたはずだ。



『貴様のそのスキルは、全分解スキルではない。我も初めて目にするが貴様のそれは部分分解スキルだ。』



「部分分解、スキルだと?」



『貴様はきっとスキルを使う時に相手を全分解するイメージをしたのだろう。我も「神獣の目」がなければそう思っている。』



そう、か。俺のスキルは、完全に分解をすると言うよりは、対象の要素を分けるという方が正しいということか。



「何故、それを、俺に?」



『言ったであろう。我は貴様を見逃す変わりに少女の病気を治してもらうと。どうする?我と取引をするか?』



この場合、俺に選択の余地はない。

正直スキルを、試してみたくもある。



「ああ、その話のらせてもらうぞ。」



俺がそう言った瞬間にフェンリルからの威圧が解かれた。







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