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第3話 冒険者


行き当たりばったりな小説が苦手な方もいると思います。

安心してください。

この小説は行き倒ればったりです。

アッハッハッハッハッ!







は?



翌朝、俺とロゼは宿の朝食を食べながら今後の話をしていた。



「私は一旦村に戻って家族に報告しようと思うけどガメオはどうするの?」



ロゼの家はそこそこ裕福だし、魔導学校に行く相談なんかをしに行くんだろう。



「俺は、そうだなもうちょっと王都に居ようと思う。王都には仕事がたくさんあるからな。俺にもやれそうなのを探してみるよ。」



俺の家はあまり裕福ではないし、職を見つけてからの方が親も安心するだろうしな。

両親に期待させていた分スキルが使えないのはかなり申し訳ない。



「というかロゼ、帰りは一人で大丈夫なのか?」



「失礼ね!私ももうスキルがあるんだから大丈夫よ!が、ガメオと離れるのはちょっと嫌だけどね.........。」



ロゼは少し俯き耳を真っ赤にしながら小さな声で呟いた。

聞こえてますよ。



「ロゼが可愛すぎる件。」




「あ、あなたねぇ主人公なら聴き逃してもどかしい感じになる展開でしょ!」



「というかこの小説ギャグに振りすぎなのよ!異世界のギャグものなんて二番煎じよ!こ〇すばか!」



「ロゼ、それ以上メタなのはやめろ!お前ちょっとグレー発言多すぎるぞ!」



「そうだそうだ!こっちは何時でも小説編集できるんだからな!!」



「さ、作者.........!す、すいませんでしたぁぁぁ」



「おい、ここで土下座はやめろ。」



周りで朝食を食べている客に変な目で見られている、主に俺が。

閑話休題。



「もう今日には王都を出るのか?」



「そうね、あまり心配はかけたくないから。」



なんだかんだ言ってロゼは家族想いの娘だ。俺もロゼと離れるのは寂しい。

はやい所仕事を見つけて村に戻りたいものだ。



「何時の馬車に乗るんだ?」



「昼頃のイパ行きにのるわ。」



イパとはマグシ村の近くにある大きな街だ。マグシ村に行くにはイパを経由して歩くしかない。

魔物もほとんど出ないし危険は少ないので安心だ。


正直俺がいいスキルを授かっていれば一緒に村に帰れたのでやはり情けない気持ちになる。

こんな時も軽口が叩けるのはロゼくらいだ。

こんな時だからこそ幼なじみの存在がいっそう大切に感じる。







「またね、ガメオ。帰り待ってるわよ。」



馬車の前、王都の門にほど近くにある広場でロゼを見送る。



「ああ、出来るだけ早く戻るよ。」



ロゼが馬車に乗り込むとすぐに出発する。

俺は馬車が見えなくなるまで手を振っていた。


馬車が見えなくなると、王都の喧騒でさえも寂しく聞こえた。

まぁ、ずっと一緒だったもんなぁ。



「どうしたぁ?兄ちゃん。」



その場でボーッとしていた俺にガタイのいい三十代くらいの豪快そうな男が話しかけてきた。



「自分がどうしようもなく情けなくて.........。」



人の良さそうなその男は「ガハハ!まぁ話そうや。」と豪快に笑いながら噴水の近くのベンチに誘導された。



ベンチに座ると男から話を始めた。



「兄ちゃんみたとこ、貰ったスキルがよくなかったんだろ?」



「え.........?どうして?」



「ガハハ!お前に似たやつを前に見たことがあってな。そいつも外れスキルってやつで悩んでたんだよ。」



「外れスキル........。俺と同じだ。」



不思議と男に自分の悩み相談したくなる。



「俺、仕事を探してるんだ。スキルがなくても出来る仕事を。」



「ガハハ!そうかそうか。スキルがなくてもできる仕事てのぁ難しいなぁ。」



「だよな.........。情けねぇや.........俺。」



「でもな兄ちゃん、俺なら一つ知ってるぞ。」



スキルが外れでもできるそんな、都合のいい仕事があるって言うのか?



「これは俺の持論だがな力がないヤツが金を稼ぐにはな賭け金が必要だと思ってる。スキルが使えないヤツなら『命』ってとこだな。」



命という言葉に俺は驚く。



「俺もな兄ちゃん、スキルが弱かったんだよ。でもな自分にだって出来ることがあるはずだって信じて仕事についた。」



男は語り続ける。



「その仕事はなぁ、自分の命を賭け金にして金や名誉を奪い合う。まぁ、でけぇものにはリスクは付き物ってやつだな。その仕事はなぁ、

『冒険者』だ!!」



「『冒険者』.........?でもそれって最もスキルが必要なんじゃ.........?」



俺は心の底から驚いた。

自分が最初に外した選択肢であったからだ。



「冒険者てのはなぁ、どんなにいいスキルもっていても上に行けるわけじゃあねぇ!冒険者にとって大切なのはスキルだけじぁねぇ、何にでも物怖じしない勇気そして運だ!」



「少なくともお前は運をもってるぜ!それは俺が保証してやる。」



「.........どうして?」



「なんたって俺が冒険者にならないかと誘ってるんだからな!」



いかにも自分が有名人のような言い方だな。



「あ、あんたは、誰なんだよ?」



俺がたずねると男は「ガハハ」と笑いながら、



「なんたって俺は世界に四人しかいないSSSランク冒険者の一人『雷帝』トールだからな!」



―――SSSランク冒険者―――

『四天王』『人類最強』などとも呼ばれる冒険者の頂点である四人のことだ。



曰く、彼らは龍をも滅すると


曰く、彼ら四人が組めば国でさえかなわないと


曰く、曰く、曰く、


様々な伝説が残る彼らの名を知らぬ者はいない。

そんな人に冒険者に誘われるこんな名誉なことはない。



「そう、か.........。俺は自分の可能性を捨ててた。スキルが弱いからといって、自分が安全に稼げる仕事ばかりを探してた。アンタの話を聞いてよかったよ。覚悟ができた。

俺、『冒険者』になるよ!」



トールの話を聞いて本当によかった。完全に俺は甘えていた。リスクをおかさずに出来ることがばかりを探してた。自分を諦めてた。

だが、前に進むにはリスクは付き物か、いい事を聞いた。



「ガハハ!まぁ、ダンジョンのトレジャーなんかで戦力は補えるし仲間なんてものを作ってもいい!」



「そう、だな。ありがとうトール。」



俺は『冒険者』になってみようと思う。

簡単に口車に乗せられてるように見えるかもしれないが、俺は信じてみたくなったんだ、自分自身を。



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