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怪奇に魅入られたもの  作者: ヨベ キラセス
4/4

「なあなあ、もう一回見せてくれよ」

「おういいぜ。よっと!」


「……ほう、もう乗り越えたのか?」

 ミネコの隣りにカガリが座る。

「まーネ。もう抵抗はないかナ」

「……相も変わらずお前はキャラ付けなんだな」

「それはあまり言ってほしくないかナ~」

 猫のように伸びやかに喋るミネコに嘆息つくカガリは、どっと沸く歓声の方向に頬杖をつく。



 マトは手品が得意だ。彼は幼少から注目され、テレビにも出た有名人だった。


 しかし十年前、『神隠し事件』が大きく取り上げられ、それが沈静化した頃にはもう彼はテレビに出てはいなかった。そのため彼を知る人は居ない。



「ほら、きーえた! そしてお前のポケットにはコインが一枚」

「おお、本当にあるぞ! すっげー!」

「な、な! 俺にも見せてくれよ!!」

「わたしも!!」


 彼はこの手品の種や仕掛けを公表したことはない。分かっているのは、


「『種も仕掛けも御座います』。 分かるかお前ら?」


『種も仕掛けも御座います』と、まるで『実は何もない』かのように思わせる決め台詞のみだった。

「ま、あれで友達できてるんだからいいんじゃなイ? 基本ネーサンみたいに深く踏み込まなければ、あるいは『神隠し事件』に触れなければ周りには優しいんだかラ」

「ま、それが仮面でもいいならだけど、ね」

 そういうとカガリは席を立ち、廊下へと姿を消した。


 後に残っていたのは、『今日の深夜、メンバーで【門眞かどま町 神霊館】に集合。遅れれば無理矢理たたき起こしに行くので悪しからず』とセロテープで貼られた紙だった。

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