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怪奇に魅入られたもの  作者: ヨベ キラセス
2/4

 卒業を控えた2月半ば、〔萩時 魔刀(はぎじ まと)〕は職員室から出ると足早に学校を出た。

 今日はとある高校の入試結果がわかる日だが、それ以前にその高校の理事長を名乗るヤツからの連絡を受け、結果を見ずに『葉坂高校』の職員室まで行く。


「やあ、待っていたよ。」


 ドアノブに手をかける直前、誰もいない廊下に一人の少女が立っていた。初見なら迷子と勘違いするだろうが、オレはその知人を知っているため、彼女がこの学校の理事長なことを理解した。

「……で、オレに何の用だ?」

「なるほど、確かにお姉ちゃんの言う通りだね。すごく性格に難ありか」

「……来るもの拒まず、がモットーの学校と聞いたんだが?」

「そう、むしろ君みたいな特殊な人には是非入学して欲しい。でも、君は不合格さ」

「……理由を話せ。オレはその姉に通してもらった筈だが?」

 納得出来ない。既に矛盾した回答だということを理解しているのかこのガキは。

「理由ならあるさ」

 歩み寄る少女の口元は、悪巧みしたガキ大将のように笑っていた。


「君は『怪奇』を調べている、で間違いないね?」


「……どこまで知ってる」

「実際には何も。でもそんな君にだからこそ斡旋あっせんしたい学校があってね」

 そう言うと、どこからともなく一つのパンフレットを手渡された。

「『私立木咲高校(しりつきさきこうこう)』に行くといい。ここにはその専門家がいる。君が欲しがってる情報の手助けができる筈だ」

 悪くない話ではある。が、どうしてもそれではダメだ。

「悪いがここだ。オレはその一番の手がかりを持つ男に会いに来た」

「『聖夜の魔法使い』でしょ?」

 今更驚くことはない。この女は見た目以上に、知人の情報屋より裏に精通しているように見える。オレの情報の一つや二つ、持っていて驚きはしない。

「……知ってるならなおさらだ。オレはその男に––––」

「無理だね」

 即答だった。

「無理さ。君じゃ彼の底を知れはしない。君じゃ手のひらで踊らされるだけさ」

「なぜそんなことが」

「現に今の私でさえ踊らされるだけだからさ。今の君では煙に巻かれるだけ」

 納得できない。それを理解してか一つ提案をしてきた。

「じゃ、君がもし何かしらの成果をこの高校であげられたら、彼との面会の場を設けてあげるよ」

「……」

 これが最大の譲歩だ、と理解したオレは何も言わず、パンフレットをひったくって、笑顔で見送る少女を後にした。

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