第8話 総合ギルドとイベントフラグ?
第8話です。
さぁ、総合ギルドにお肉を売りに行きましょう♪
おや、様子が変だな?
第8話
ホーンラビットの肉を納品しに、久しぶりに《総合ギルド》に来てみたが、実に6日振りだった。
さすがに昼過ぎに来たので総合ギルド内は空いていた。
〔受付は………空いてるよな? 〕
「こんにちは、え~とリースさん? 6日ぶりですかね? 」
「はい、こんにちは。sinさんでしたよね、どうかしました? 」
「リースさん姉妹の識別が出来ないのでリースさんか誰か解らなかったと言うか自信が無くて………なんかすみません 」
「もう、分からない何て駄目ですよ。マァ、みんな似てるからちょっとくらいは同情しますが。(ところで、sinさんは[鑑定]スキル持ってませんの? 鑑定対策済なので、心配されることは無いと思うのですが?) 」
「(持ってますけど流石にスキルで見るのはマナー違反では? それにお綺麗な姉妹をジロジロ見るのはどうかと思いますね?) 」
「まぁ、綺麗だなんって言っても何も出ませんよ♪ それはそうと、本日はどんなご用件ですか? 」
後ろの方から"爆せろ"とか"羨ましい"とか"どうやったら仲良く話せるのか"とか聴こえてくるが、とりあえず放置しておこう(笑)
「実は、兎肉の買い取りをお願いしたくて来ました! 」
「はい、兎肉ですか? ギルドの依頼で取ってきた訳じゃないわよね? 」
「えぇ、実は今泊まってる宿屋さんに頼まれて兎狩りしたのですけど、ちょっと取りすぎまして………。余った兎肉をギルドに卸してきてと言われましたので持ってきました 」
「本当は、角兎の討伐依頼を受けてから行ってきてほしかったですけどね。仕方ないですね、次からは討伐依頼を受けてくださいね 」
「すみません。初めて狩りに行ったので、ちょっと舞い上がっていたのかも知れないですね 」
「初めて狩りに? もう、しょうがないですね。角兎駆除は常設の依頼が有りますので今回は特別に依頼完了扱いにしますので討伐確認部位を出して下さい 」
討伐部位は何と聞いたら、角兎の討伐部位は角だったらしい。
とりあえず、今日狩って持っていた角を全て出したら、リースさんの目の色がガラリと変わる。
「(小声で)……………えぇっと、何本有ります? 」
「………沢山ありますね? 」
「討伐部位の角が35本有りますから、そうすると35羽狩ってきたのですか? 」
そうですね? と答えると、後ろから"ありえない!"、"どうやって?"、"ウサギさんが!"などと悲喜交々だったようだ。
「で、兎肉どうします? 」
「兎肉ですか? どのくらい有りますか? 」
「え~と、宿屋に20個卸したので15個買取りでお願いします! 」
「肉は大丈夫そうですね。兎皮はどうします? 買取りますよ」
「皮は革に加工しますので、パスで! 」
後ろでは"え、あいつ加工までやってるの? "とか"おい、あの服自作か? "とか"まさかの生産から戦闘までやってるのか? "とか"流石にフレンドに加工は任せてるんじゃないの? "等聞こえていた。
「他にご用件はありますか?」
「……そう言えば、はぐれゴブリンがあったな。東の森の近くまで行ったら、森からはぐれゴブリンが出てきました。奇襲して討伐したのですが、大丈夫ですかね? あと、これ討伐部位の耳? 」
そう言って、はぐれゴブリンの耳をリースさんに渡す。
「え、ええ、大丈夫です。よくゴブリン倒せましたね。もう一度お聞かせ願いたいのですが、はぐれゴブリンが森から出て来たのですよね? 」
「はぐれゴブリンだからふらっと森から出て来てウサギさんを狩に来たのでは? 」
「私では判断出来ないので上の者に相談してきますのでsinさんはちょっと待っていて下さい! 」
なんかイベント系のフラグ地雷踏んだかな?
リースさんが慌てて裏に行ったよ?
〔総合ギルドの中がざわざわしてきたな? 〕
後ろで"なんかやったのか? "とか"すごいモンスターが出たか? "とか"イベントフラグか? "とか騒いでいたが?
あ、リースさんが戻って来た。
「sinさん、申し訳ないのですが別室に来ていただきますね。こちらです! 」
もう強制連行ですよ。
リースさんに手を引かれて………ね。
後ろでは"受付嬢さんが~"とか"爆発しろ"とか"いいなぁ~手を………"とか聞こえたけど、………どうしろと?
受付カウンター裏の廊下を進みとある部屋の前に来た。
リースさんが扉をたたく。
"トントン"
「ギルドマスターよろしいですか? 」
「お、来たか。入れ 」
と中から返事が………
ギルドマスター?
やな予感しかしない………
〔こういう時の予感はよく当たるけど……… 〕
リースさんの後から部屋に入るがその場で orz してもいいと思ったよ。
何故ここに居る妖精!
〔鳥籠の中で何をしているの? 〕
「では後はよろしくお願いします。ギルドマスター 」
え、と思う前にリースさんが扉から出て行った………
リースさん見捨てないで! と言いたかった。
〔本当に帰りたいよ! 〕
そこのソファーに座ってと勧められたのでソファーに座る。
「やぁ、初めまして。私はここ《総合ギルドイースト支部》のギルドマスターで東雲と申します」
「で、運営の人? は何かご用ですか」
「え、わかります? よね………そこに馬鹿、もとい妖精が居ますからね、一応リアルネームはVR事業部室長の斉藤です。一応、ここ第1サーバーの運営部長兼任でザンネンの上司です」
「あぁ、あのメールの。所で妖精の名前確定ですか」
「ええ、だから表示も妖精(ルビ付き)になっています。正式にはイタズラ妖精ザンネン・デス ですね」
「イヤー! 私はアイちゃんよ………ここから出して(ジロリ)………出して下さい」
「まぁ無理だな。あれこれやったのだからね責任はとろうね 」
「所で私が呼ばれた理由は? 」
「あれ、ザンネンの事は、良いの? 」
「あまり関わりたく無いので………」
「あ、わかりますねその気持ち。そうそう、呼んだ理由ですがゴブリンの件なんですがこのタイミングでゴブリンが東の森から草原に出て来る事は無いはずなんですが……… 」
「では何故森から出て来たのですか? 」
「実はあのゴブリンはイベントのトリガーフラグ予定のモンスターだったんです 」
「では私が踏んだので呼ばれた 」
「いえいえ、イベント自体は他の町か村に誰かが到着又は街中クエストが一定水準クリアした時にあのゴブリンが森から出て来る予定でした(チラ見) 」
「(チラ見)まさかその設定を……… 」
「………はい、そこのザンネンが運営に内緒でクエストクリア数を30件から10件に低く変更しまして……… 」
「あれ?それだと私だけで(シークレット込みで)5、6件クリアしてない? 」
「はい、今現在sinさんだけで5……6件ですね。他のPCの方も一人1~2件で9件、計15件ですね 」
「え、少なくない? もっとありそうですけど 」
「実際クリア率も低いからね。前線組脳筋PCドモは「次の町は何処だ! 」と街の回りを探索してるみたいだけどね 」
「もしかして次の町に行くルートのヒントは街の中に? 」
「探してもらうとこちらもうれしいけどね 」
「良いのですか? 私に話しても 」
「まぁ、別に良いでしょうね。たぶん貴方は言いふらさないでしょうから 」
確かに言いふらさないし、本音はまったり過ごしたい。
「で、イベントは起きるのですか? 」
「一応起きるのは止める事が出来ないが発生時間を遅らせる事が出来るのでこいつザンネンを使ったミニイベントを3日目の、ああ、こちらでは9日目の昼に起こして終了後に予告をして12日の朝からほんとのイベントを始まるように設定しました 」
「良いのですか? こいつで 」
「一応sinさんのアイデアだと聞いてますが 」
「ああ、GMさんが言ってたやつか………ってあれ通ったのですか? 」
「GMさん? ああ、坂元さんか! そうですよ。他にも……あ、そうそう例の件のアイデアありがとうございます。あのAIの使い道に困っていたので助かりましたよ♪ 」
ほう、あのモフモフは無事に病院の方に届くのか。
良かった良かった。
その後はこれまでやってきた事を話し(凄く呆れられたが)問題無いか聞いてみた。
今の所、私に対しては特に問題無しとの事。
それじゃと帰ろうとしたら受付で総合ギルドカードを見せて手続きしてね? と言われた。
受付カウンターまで戻り リースさんにギルドマスターがと言いギルドカードを見せた。
「sinさん今日初めて? 狩りに行ったって言ってましたよね 」
「はい、言いましたが? 」
「それまでは何をしていました? 」
「え~と、門番さんに紹介していただいた《ガンコ武具店》のガンコ師匠と意気投合しまして鍛治を教えてもらうことになったのですがいつの間にかお友達の師匠達に囲まれまして6日間修行してましたね? 」
「師匠達てもしかしてガンコさん トイさん夫婦とソーイさん クリンさん マリックさん ウットさんですか? 」
「えぇ、物凄い師匠達ですね 」
いろんな意味で………
「その人達、イースト街のトップの職人ですよ! 知らなかったのですか? 」
………まったく知らなかった。
すごい師匠達だと思ったが、まさかトップだったとはね!
「それでこの[生産ギルドの招待状]があるんですね 」
え、何それ? と聞くとどうやら[?????の招待状]の正体らしい。
「では生産ギルド及び冒険ギルドの紹介状と施設の地図をお渡しします。おめでとうございます。」
冒険ギルドもですか? と聞くとどうやら既定討伐数が30匹か町中クエスト5件以上クリアすれば紹介状を出せるらしい?
「あとこれも冒険ギルドのギルドマスターに渡して下さいね 」
封書が渡された。
「ではカードを更新しますのでこちらに貸して下さい 」
ウサギさんの素材(角と肉)の販売代金とウサギさんとゴブリンの討伐報酬はついでにカードに入金してもらう。
しばらくしてカードができたので確認すると
[総合ギルドカード]
名前 :sin
種族 :龍人族
職種 :[冒険者][製作者]
登録 :総合ギルド:冒険ランクA
:生産ランクA
:商業ランクC
:輸送ランクC
生産ギルド:ランク ―
冒険ギルド:ランク ―
貯金 :2,800G
(注)貯金の内訳
兎肉 10G×15= 150G
討伐部位
角 50G×35=1,750G
ゴブリンの耳100G×1= 100G
元気草 10G×45= 450G
傷生草 5G×35= 350G
合計2,800G
生産、冒険ギルドのランクは、それぞれのギルドで決めるそうです。
カードを受け取りリースさんにお礼を言って後ろを振り向くとその場に居たPC達に遠巻きに囲まれてた。
あ、ヤバイやつね?
〔………ドウシマショウ? 〕
また振り返りリースさんに助けて欲しいと目で訴えてみた。
すると奥からギルドマスター登場!
「おい、お前ら何集まっている? 一応言っとくがオレがここ総合ギルドのギルドマスターで東雲と言う。お前ら依頼も受けずに何やってるんだ! 」
え、東雲(運営)さん、ここは煽ってはまずいのでは?
「いいか! お前らはまだまだヒヨッコだ! おそらく角兎に殺られる位の弱いヒヨコだ! だがヒヨコだからと言ってあきらめていないか! それとも楽に強くなれる方法があると思っているのか! だがな何故ギルド職員に相談しない? 何故訓練場を使わない? 生産をしてる者は何故工夫しない? 何故街の職人に聴きに行かない? お前らは何がしたいのか? 何になりたいのか? その辺を良く考え行動するように!! ヒヨコだって鍛えればいつかはコカトリスになるかもしれない! 狼だって頑張ればフェンリルになるかもしれない! だからお前らも訓練や修行すればいいんだ! やればできる! さぁこんな所で何しているんだ? さっさと仕事しろ! 」
東雲(運営)さん 漢 だね! まじカッコイイ! ………て何気にヒント与えて良いのかい?
騒然としている中 気づいて外に走る者、近くに居たギルド職員に質問している者、何言ってるんだと騒ぐ者、と反応があって見てる分には面白いだろうが………
ん、リースさん、手招きしてる? ついてこいって事かな? ついて通路の奥の方に行くとドアがありリースさんが「どうぞ」と言うので開けたら裏口でした。
「リースさん、ご迷惑をかけまして申し訳ありません 」
「いえいえ、ギルド長から色々聞いていましたから気になさらないでくださいね 」
「それでこれなんですが、受け取ってもらえませんか? 」
「ギルド職員の立場では、sinさんから金品をもらうのは規律違反なのですみません 」
「それはわかりますが、私たち冒険者や職人達が困りますし。今回の原因の一部解消にもなりますので? 」
「どういうことでしょうか? 」
「最近ギルドに登録した者の中には[鑑定]スキル持ちが少ない事、シャイな人が多い事、さらにはリースさん姉妹の区別が出来ないと言う問題があります 」
「区別がつきませんか? とゆうか何故区別がつかないのが問題なのですか? 」
「区別がつかないと………例えば朝依頼をリースさんから受けたとします 」
「そうですね、受付はしますね? 」
「依頼を完了してギルドに戻った時には、受付をしてくれたリースさんに完了報告したい訳ですよ 」
「それは嬉しいですね 」
「しかしギルドの窓口は5ヵ所、忙しい時は姉妹総出で対応、その時リースさんは何処で立ってます? 」
「あ、何となくわかりました。たまにライラ姉さんやローラに間違われるからね! 」
「やっぱり依頼を受けたら、受けた人に報告したいんですよ。シャイな人ほどね? 」
「それはそうですね。所でsinさんは良く区別できますよね 」
「それはリースさんに姉妹を紹介してもらった時に、眼の色が違うのに気がついたからですよ 」
「良く気づきましたね。私たち5姉妹は基本属性によって眼の色が違うんです 」
話を聴くとライラさんが水属性、リースさんが風属性、ルビーさんが火属性、レーナさんが土属性、ローラさんが光属性らしい。
「それでこちらを用意しました。属性色別の髪飾りです 」
アイテムを渡す。
[風の髪飾り]
風属性魔法効果(微)
耐久100/100 重量0
製作:sin
解説:sinが試作で製作した髪飾り
緑色の狐顔のワンポイントが付いている
価格:100G
「え、良いのですか! こんな良い物を? 」
「えぇ、他の姉妹の方の分も、属性別で有りますので渡しといて下さいね 」
「ありがとうございます。でも規律が……… 」
「あぁ、それなら大丈夫ですよ。ギルドマスターには許可をもらってますから後で確認して下さいね 」
「マスターの許可、いつの間に取ったのですか? 」
「先ほど雑談の時にね。それに東雲さんも時々間違えるからちょうどいいと言ってましたよ(笑) 」
「ギルドマスターが? ふふ、確かに時々間違えてますね。しょうがないですね(笑) 」
「私も、付与術の練習になりましたので良かったですよ 」
「それではこれで。髪飾りありがとうございました。早速付けますね 」
そして私は、裏口から出られた。
まずは、生産ギルドの方に向かう事に。
8話
まさかの妖精のせいで、イベントフラグを踏み抜くとは………。
ザンネン→私はアイちゃんよぉ~!
東雲部長→ザンネンだよ♪
sin→ザンネンさん?
まさかのイベントフラグでした。
まぁ早いよねぇ。