「アダルトチルドレンたちへ」
いつまで経っても心のなかで幼い君は泣き止まない。
心の傷で苦しくって鏡の前の君も泣き止めない。
痛いくらいにあの子の唄が心に刺さって。
アダルトチルドレンが暴れる夜は眠れない。
今更になって欲しいものに気がついた。
けれど。
巻き戻せない時間のせいで、
私たちにあの日々を生きる権利はもう何処にもない。
普通に学校行って。
普通に教室に居て。
普通にお話して。
普通に笑って。
普通の高校生でいたかった。
あたしがおかしいことに気付いた先生が、病院行けって言ってきた。
心がおかしいみたいだってさ。
あたしは馬鹿にされたみたいで、それが嫌で、病院には行かなかった。
でも、文化祭で家庭科室にいたときに気づいたんだ。
もしかしたら、普通じゃないのかもって。
それを気取りたかったわけではないけれど。
そう考えると辻褄があった。
どうして、こんなに世界が生き難いのか。
痛い心を見ないフリしていたのかも。
インターネットは便利だった。
ググれば何でも出てくる。
キーワードはすぐに見つかった。
アダルトチルドレン。
インナーチャイルド。
機能不全家族。
喧嘩ばかりの両親と、
テストの点しか見ない両親と、
褒めてくれない両親と、
あたしを殴る父親と、
あたしから友達を引き裂く母親と、
ご飯くれない両親のせいだった。
全部決めつけるわけじゃないけどさ。
アイツらのせいにしないとやっていられない。
生まれた家でついた心の傷で世の中生き難い。
こっそり、アパートで泣いて。
彼のラインを無視したら。
次の日乱暴されて、また泣くの。
世の中生き難い。
みんなそれぞれ違うだろうけれど。
アダルトチルドレンはみんな可哀想。
そうだって思ってる。
別に人のせいにしてもいいよ。
そっちの方が少しはマシに生きられるから。
それにつけられた傷が何よりもの証拠だもの。
アダルトチルドレンたちへ。
強がりはもうやめて。
自分でいれば、それでいい。