9/17 『フルネーム』
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斂侍電志:青みがかった黒の長髪に眼鏡の少年。鋭い目つきでよく怖がられる。超論理思考。
倉朋愛佳:背中まで伸びた茶の髪に垂れ眉と切れ長の目を持つ少女。一人称はボク。感情の赴くままに生きる。
〈DDCF〉:宇宙戦闘機設計部でその名の通り設計士が集まる部署。室内は広大で、棚と机が雑多に並ぶ研究所風の空間。壁や天井は木目調で、床は靴音を吸収するカーペットが敷き詰められている。部屋の一角、宇宙がよく見える大窓の傍に電志と愛佳の机がある。
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〈DDCF〉は今日も平常運転。
愛佳が作業の手を止めて話し出した。
「さあ電志、そろそろボクたちのトークショーの時間だ」
それを受け電志も作業を中断し、応じる。
「ああもうそんな時間か」
「今日の執筆状況は、カクヨムの最新話は全く進んでいないみたいだよ」
「気力を充電してくると言って出かけてきたらしい」
「それなら明日は5話分くらい書けるね」
「流石にそこまでサクサク進みはしないだろう」
「ねね、電志は何でフルネームで呼ぶと怒るの?」
「ファミリーネームを先に呼ぶなら怒らない」
「一応【アイギス】での公用語は英語だから、ファミリーネームは後になっちゃうね」
「俺らは日本式で良いんだよ」
「で、何で怒るのさ」
「せっかく話を逸らしたのに、お前は蛇か」
「スッポンだよ」
「もっとタチが悪いな。だって嫌だろ、家電製品を連想させるなんて」
「もしかして、それでイジメられた? 小学校の時とか」
「……うるせえな。連呼してくる奴がクラスにいたんだよ」
「そうなの? ボクは電志の名前、カッコイイと思うけどなあ」
「えっ……?」
「あ、赤くなった!」
「コノヤロウ……」
「くふふ、今日はボクの勝ちだね! じゃあここら辺で締めようか」
「この借りはいつか返す」