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天才設計士の小劇場  作者: 滝神龍二
34/34

10/15 『マトモな話』

☆★☆★


 斂侍電志れんじでんし:青みがかった黒の長髪に眼鏡の少年。鋭い目つきでよく怖がられる。超論理思考。


 倉朋愛佳くらともあいか:背中まで伸びた茶の髪に垂れ眉と切れ長の目を持つ少女。一人称はボク。感情の赴くままに生きる。


〈DDCF〉:宇宙戦闘機設計部でその名の通り設計士が集まる部署。室内は広大で、棚と机が雑多に並ぶ研究所風の空間。壁や天井は木目調で、床は靴音を吸収するカーペットが敷き詰められている。部屋の一角、宇宙がよく見える大窓の傍に電志と愛佳の机がある。


☆★☆★

〈DDCF〉は今日も平常運転。

 愛佳が作業の手を止めて話し出した。

「さあ電志、そろそろボクたちのトークショーの時間だ」

 それを受け電志も作業を中断し、応じる。

「ああもうそんな時間か」


「さあ今日で最後だよ! いちおうブックマークも僅かに増えたみたいだ」

「うむ。最後まで読んでくれた人には感謝だな。この作品はかなり好みが分かれるものだっただろう。特にシャバンやイライナ、シュタリーの描き方ではっきり分かれるだろうな」

「ある意味刺激が強いお話だったよね」

「ただ、それを乗り越えて良いと言ってくれた人もいるわけで、最後まで付き合ってくれた人にはとびきりの満足感を届けられたんじゃないか?」

「そうだね。誰か一人にでも届いたのなら十分過ぎるほど書いた意味はあったと思うよ」

「ああ、そしてトークショーも今日でラストだ。読んでくれたみんな、ありがとう。名残惜しいが完結だからな」


「電志、今日はラストなんだからまともな話をしよう」

「ラストでなくともまともな話をしたいんだが」

「電志が実は女の子だったなんて知らなかった」

「まともどころか嘘を言い始めたぞ、どういうことだ」

「嘘なんて、この世には存在しない」

「それ自体が嘘だ」

「全てが嘘だとしたら、嘘とも言えるし本当とも言えるじゃあないか」

「事実と異なっている以上、嘘だろう」

「それは認識の相違という」

「それを言われると何に対しても『お前の中ではそうなんだろうな、お前の中では』としか言えなくなるぞ」

「つれないなあ。そうやって突き放す電志にどうやって萌えれば良い?」

「萌えなきゃいい」

「じゃあ電志がボクに萌えてよ」

「俺には萌えがどういうものか分からない」

「いや、電志はもう萌えているよ。いつもボクに弄られたがってる。弄られ待ちだよ」

「それは知らなかった」

「ボクも今初めて知った。新たな発見ができたところで、締めようか」

「発見がねつ造というのが微妙だが、まあいいか。それではみなさま、ありがとうございました」

「ありがとうございました!」

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