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天才設計士の小劇場  作者: 滝神龍二
31/34

10/12 『あくびを噛み殺せ』

☆★☆★


 斂侍電志れんじでんし:青みがかった黒の長髪に眼鏡の少年。鋭い目つきでよく怖がられる。超論理思考。


 倉朋愛佳くらともあいか:背中まで伸びた茶の髪に垂れ眉と切れ長の目を持つ少女。一人称はボク。感情の赴くままに生きる。


〈DDCF〉:宇宙戦闘機設計部でその名の通り設計士が集まる部署。室内は広大で、棚と机が雑多に並ぶ研究所風の空間。壁や天井は木目調で、床は靴音を吸収するカーペットが敷き詰められている。部屋の一角、宇宙がよく見える大窓の傍に電志と愛佳の机がある。


☆★☆★

〈DDCF〉は今日も平常運転。

 愛佳が作業の手を止めて話し出した。

「さあ電志、そろそろボクたちのトークショーの時間だ」

 それを受け電志も作業を中断し、応じる。

「ああもうそんな時間か」


「今日のブックマークは、微妙に増えていたよ」

「意外と完全ストップにはならないんだな」

「さすがに完結すればストップするんじゃあないかい?」

「そういやだんだん完結も近付いてきたな。最後まで読んでもらえると良いな」


「電志、今日はあくびについて語ろう」

「俺は割としてる方だな」

「電志って設計している時よくあくびしてるよね」

「眠い時出やすいが、眠くなくてもなんか出るんだよな」

「それは危険だね」

「何かの病気なのか?」

「うん。略称『HETARE』病という」

「略称にしては随分長いな」

「それだけ深刻だということさ。致死率は何と100年で99%」

「その年数だと大概死亡するな」

「恐ろしい病気でしょ」

「倉朋はあくびを噛み殺してるのをたまに見かけるな」

「ボクはあくびを憎んでいるからね。親の仇みたいに噛み殺すんだ」

「獰猛な奴だな」

「くふふ、ボクは怒らせると怖いんだよ。今日はこの辺で締めようか」

「そうだな、また明日だ」

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