10/6 『たくさんのゼロ』
☆★☆★
斂侍電志:青みがかった黒の長髪に眼鏡の少年。鋭い目つきでよく怖がられる。超論理思考。
倉朋愛佳:背中まで伸びた茶の髪に垂れ眉と切れ長の目を持つ少女。一人称はボク。感情の赴くままに生きる。
〈DDCF〉:宇宙戦闘機設計部でその名の通り設計士が集まる部署。室内は広大で、棚と机が雑多に並ぶ研究所風の空間。壁や天井は木目調で、床は靴音を吸収するカーペットが敷き詰められている。部屋の一角、宇宙がよく見える大窓の傍に電志と愛佳の机がある。
☆★☆★
〈DDCF〉は今日も平常運転。
愛佳が作業の手を止めて話し出した。
「さあ電志、そろそろボクたちのトークショーの時間だ」
それを受け電志も作業を中断し、応じる。
「ああもうそんな時間か」
「今日のブックマーク等は、特に変化無かったよ」
「おう、平穏だな」
「おや電志、今日はいつもと雰囲気違うね」
「ついさっき顔に落書きされたからな、倉朋に」
「男もたまには化粧してみてはどうだろう、と思ってね」
「額に『1ドル』って書くことのどこが化粧なんだ」
「くふふ、お似合いだよ」
「お前にも書いてやろうか?」
「ボクはそんなに安くない」
「いくらなら良いんだ」
「1億ドル!」
「高っ」
「妥当な金額だよ」
「…………分かった、まあそれで良い。だがおでこにいっぱいゼロを書かなくちゃいけないな」
「電志、落ち着いて! ペンをしまって!」
「俺だけ書かれるのは不公平だ、おい逃げるな」
「今日はこの辺で締めようか!」
「ったく。しょうがない、また明日だ」




