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天才設計士の小劇場  作者: 滝神龍二
25/34

10/6 『たくさんのゼロ』

☆★☆★


 斂侍電志れんじでんし:青みがかった黒の長髪に眼鏡の少年。鋭い目つきでよく怖がられる。超論理思考。


 倉朋愛佳くらともあいか:背中まで伸びた茶の髪に垂れ眉と切れ長の目を持つ少女。一人称はボク。感情の赴くままに生きる。


〈DDCF〉:宇宙戦闘機設計部でその名の通り設計士が集まる部署。室内は広大で、棚と机が雑多に並ぶ研究所風の空間。壁や天井は木目調で、床は靴音を吸収するカーペットが敷き詰められている。部屋の一角、宇宙がよく見える大窓の傍に電志と愛佳の机がある。


☆★☆★

〈DDCF〉は今日も平常運転。

 愛佳が作業の手を止めて話し出した。

「さあ電志、そろそろボクたちのトークショーの時間だ」

 それを受け電志も作業を中断し、応じる。

「ああもうそんな時間か」


「今日のブックマーク等は、特に変化無かったよ」

「おう、平穏だな」


「おや電志、今日はいつもと雰囲気違うね」

「ついさっき顔に落書きされたからな、倉朋に」

「男もたまには化粧してみてはどうだろう、と思ってね」

「額に『1ドル』って書くことのどこが化粧なんだ」

「くふふ、お似合いだよ」

「お前にも書いてやろうか?」

「ボクはそんなに安くない」

「いくらなら良いんだ」

「1億ドル!」

「高っ」

「妥当な金額だよ」

「…………分かった、まあそれで良い。だがおでこにいっぱいゼロを書かなくちゃいけないな」

「電志、落ち着いて! ペンをしまって!」

「俺だけ書かれるのは不公平だ、おい逃げるな」

「今日はこの辺で締めようか!」

「ったく。しょうがない、また明日だ」

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