9/28 『呪いの割り箸』
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斂侍電志:青みがかった黒の長髪に眼鏡の少年。鋭い目つきでよく怖がられる。超論理思考。
倉朋愛佳:背中まで伸びた茶の髪に垂れ眉と切れ長の目を持つ少女。一人称はボク。感情の赴くままに生きる。
〈DDCF〉:宇宙戦闘機設計部でその名の通り設計士が集まる部署。室内は広大で、棚と机が雑多に並ぶ研究所風の空間。壁や天井は木目調で、床は靴音を吸収するカーペットが敷き詰められている。部屋の一角、宇宙がよく見える大窓の傍に電志と愛佳の机がある。
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〈DDCF〉は今日も平常運転。
愛佳が作業の手を止めて話し出した。
「さあ電志、そろそろボクたちのトークショーの時間だ」
それを受け電志も作業を中断し、応じる。
「ああもうそんな時間か」
「今日の執筆状況は、カクヨムの最新話は相変わらずだったみたいだね」
「忙しいのはもうしょうがないな」
「うん。なろう版の方はブックマークが微増だね」
「まだ注目してくれる人が増えているんだな、良かった」
「電志、地球には割り箸というのがあるらしいよ」
「割り箸?」
「うん。【アイギス】は消費する文化が無いからリサイクルできる箸しか使わないけど」
「消費する箸? 一度使ったら壊れてしまうのか? それはいったい……何を割るための箸なんだ?」
「友達との仲を割るのさ」
「呪いのアイテムかよ。地球じゃそんな呪術的なものが流行っているのか」
「まさに大流行だね。食事処へ行けば殆どの店が置いている」
「飯食いに行く所に呪いのアイテムが置いてあるのか。そんな手軽に手に入るものなの?」
「ご飯を食べるのと同じくらいの感覚……ということだね」
「地球にはそんなに仲間割れさせたい人がいるのか」
「それはもう……割り箸を持っている者がいたら、周囲に緊張が走る。『こ、こいつ……割り箸持ってやがる……!』ってね」
「恐ろしいアイテムだな……ところで、全部嘘だろ?」
「嘘だと思うから嘘になってしまう。信じればそれは真実になる」
「思わなくてもたぶん嘘だろ。今日はこの辺で閉めるか」
「そうだね、また明日!」