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フィギュアハンター  作者: 桜崎あかり
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序章4

・2021年9月4日付

細部更新


 グラーフと世紀末ヘアーの人物がバトルをせずに立ちつくすこと1分――最初に反応したのは世紀末ヘアーの人物だった。

「最新のデータがなくても、その装備を見れば対処法は分かる! 貴様には勝ち目など――!」

 世紀末ヘアーの人物は迂闊にも死亡フラグを踏んでしまった。その瞬間、グラーフのバックパックが変形し、飛行甲板のパーツが両腕に装着される。そこから放たれたのは、戦闘機と思われる物だった。ミサイル等ではない為、簡単に対処出来ると判断したのだろうが――世紀末ヘアーの人物は、既に死亡フラグを立てていた為、対処する事は出来なかった。

「これならば――分かる!」

 グラーフが飛行甲板から放った戦闘機、その形状は大戦時代のデザインではなく――明らかに近代かSFレベルの戦闘機である。まるで、別のARゲームで言う所のファンネルやビット兵器を連想させるような攻撃方法だ。これでは世紀末ヘアーの人物も対処不能だろう。



 無数の戦闘機によるレーザー攻撃は、まるで弾幕シューティングのソレを連想させる。このような弾幕の嵐を回避できるようなスキルを相手が所持しているはずはなかった。その結果として、世紀末ヘアーの人物は弾幕の嵐の前に倒れた。あれだけの直撃を受けているが、あくまでも発射したのは実弾等の部類ではない為、怪我はしていない。

「勝った――のか」

 グラーフは目の前の状況を理解できずにいた。自分が初めてフィギュアハンターとして倒した相手としては物足りない予感もするが――。バトル終了後にはアーマーもCG演出とともに消滅、グラーフは買い物に出かけた時と同じ服装に戻っていた。

 1分が経過した位だろうか、先ほどまで持っていたハンターガジェットにショートメッセージが届いている。メッセージの用件は見ていなかったのだが、特に迷惑メールやスパム、チェーンメールを思わせるタイトルではなかったので、確認するまでもなくメッセージを開く。

【初勝利、おめでとうございます。フィギュアハンター協会は、あなたをフィギュアハンターとして――】

 内容としては初勝利を祝っている物だが、後の文章をグラーフが確認する事無くメッセージを閉じてしまった。

「本当に、この選択が正しいのか――」

 右手をじっと見つめていたグラーフは、何か肝心な事を忘れている予感がした。ハンターガジェットを渡した人物にお礼をする事とは違う。それとは別に――本来の電機店へ向かった理由だ。



 グラーフのバトルをタブレット端末で見ていた人物、それはグラーフにガジェットを手渡した張本人である。

「あの程度のフラッシュモブならば、島風でも楽勝だけど――ARゲームをかじった事のあるプレイヤーならば、サンドバッグとしても物足りないか」

 さすがにコートは厳しかったのか、コンビニ前で着るには危険なシロモノだったのか不明だが、今はコートを脱いでいる。厳密にはコートにはステルス迷彩の機械が取り付けられており、それが店内でのアレになったのだろう。

 コートの下はインナースーツ、それもホワイト系の物である。特定のラインが強調されていないのは、彼女がそれに満たないから……というわけでなく、スーツの仕様らしい。余裕の笑みを浮かべている訳ではないが、今回のグラーフに関しては収穫があったと彼女は感じているのだろう。

「どのジャンルでも特定ジャンルの凶信者がコンテンツを荒らしていき、更には自分達こそが神に等しいとタダ乗り便乗宣伝まで行う――」

 ネット上のつぶやきや様座なニュースをチェックしていく中、彼女は結局はループ物のゲームと同じように繰り返される悲劇を嘆いていた。

「政府公認で神コンテンツを超有名アイドルと決めているのならば、もはや国際競技大会を中止して、超有名アイドルの祭典をやればいい――というのは、さすがに炎上勢のネタと信じたいが」

 彼女の名前は雪風真姫ゆきかぜ・まき、元々はARゲームのプレイヤーだったのだが、ふとしたことでフィギュアハンターを始めた。

「どちらにしても、あのモブ達を放置して、ハンターの聖地を滅茶苦茶にされるのは黙っていられないか――」

 実は、世紀末ヘアーの連中はフラッシュモブの一団だと言う情報を雪風自身は掴んでいた。その一方で、雪風は自分が使いこなせなかったハンターガジェットを持っており、その適合者が偶然にもグラーフになったという事らしい。

 ハンターガジェットを2個持つ事自体は禁止されていないが、それぞれに自分のアカウントとサブアカウントを紐付けする事は禁止されている。複数アカウントはフィギュアハンターでは認められていないのだが、それは草加市で展開されているARゲームも同じだった。

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