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ステーキレストランを作ろう①

〜キシリタール城〜


「勇者様達が帰って参られました、皆様ご無事で魔王を討伐したとの事!」


急ぎ走ってきた伝兵から報せを受け、国のナンバー2。上級文官である、フラン・ワッソは呟く。


「本当に魔王を、国を。いや世界を救ってくださったか、勇者様……」


フラン自身は文官である。だがその子供達3人は騎士として、魔王軍とのキシリタール防衛戦に参加し、2人戦死。

残された、たった1人の息子も、戦いにより足をやられた後遺症により、騎士としての人生はもうないだろう


『勇者様がもう少し早くいらしてくだされば』


そうふっと考えたが、それは仕方ないこと。そうした自分の失ったものと、国を世界を救われた感謝。

どちらかはわからない。

涙が頬をつたう。


「さて、勇者様達がおかえりになられる前に早急に宴の準備と、王に報告と褒賞の相談をしに参るか」

涙を拭きながら、フランは王のもとへ向かう






〜キシリタール城 王の間〜


「よくぞご無事で帰ってまえられた。

国を、世界を、救って頂き感謝してもしきれませぬ!」


キシリタール王

キシリタール・ムガ12世は、眼前の異世界の勇者4人と、荷物持ちの1人を見て歓喜と、感謝の声をあげた


半年前、国の宮廷魔術師と、考古学者が見つけた異世界からの勇者召喚の儀。

膨大な魔力を使って、勇者を召喚できるらしい。

そんな眉唾話ではあったが、このままでは魔王の戦闘地域が、最前線のこの国は間違いなく滅びる……


王は、それに賭けた

足りない魔力は、魔王軍との防衛戦に余裕がある近隣諸国から、派遣出来る魔術師を、可能な限りの協力を仰ぎ、掛かる費用は残り少ない国庫から金を捻出した。

一世一代の賭け、そして賭けに勝った

勇者の召喚は成功し、宿願である魔王の討伐をやり遂げてくれた。


「勇者様、この度は本当に魔王討伐感謝しております。魔王との戦いをしていた他の国にも、伝令を出しております。

後日また祝賀があると思いますが、この場にいない各国の者達の分も、改めて感謝の意を」


言葉が終わると深々と頭を下げる王、それに続き文官のフラン、王国騎士団長、将軍、文官、王の間全ての者が、勇者一行に感謝の気持ちを伝えた。


「頭をあげてください、王様そして皆様。

当然の事をしたまでですよ」


勇者が慌てて制し、仲間を見る


「なぁ、みんな!」

「えぇ」

「ですぅ」

「んだぁ」

「いや、僕は何も……」


その言葉に頭をあげた王

「おやさしき言葉ありがとうございます。

この国、この世界の者は全て、勇者様皆様に大変感謝しております。

勇者様、この度の魔王討伐の報酬として、何か欲しい物はありますでしょうか?

どうせ滅びるはずだった運命、この国の王の座でも用意出来るすべて、喜んで贈らせて頂きます」


5人とも国王になりますか、と言われ

『ハイ、なります! 』

とはさすがにならない。

戻る帰路の間に当面のやりたいこと、目標はある程度相談してある。


そして魔王軍との連戦の戦利品で、相当懐も暖かく、目標のための資金は十二分にある。報酬は不要で、むしろキシリタール王国は長い戦いで、財政がひっ迫している、そんな国からもらえるはずがない



5人の望んだものそれは

『しばらく休んだ後、戦後復興の為に働かせて欲しい、そして私達勇者は戦闘力=軍事力が強すぎる だから極力どこの国にも属さず自由な立場が欲しい』



神様からの交換条件である、異世界での成果

魔王討伐という1番であろう、お願いは達成したが、なるべくなら善行を行うほうがいいだろう、との5人一致の結論だ。

魔王がいない今、次は人間同士、国同士との戦争が起こる可能性が、1番高いであろう。

自分達が生きている間は、戦争抑止にチカラを使い、勇者達が死に居なくなった後も、なるべく平和が続くよう、この世界で何かできないか?

その道をしばらく探すつもりである






〜魔王討伐から約1週間後〜


王都に残る組と魔王領に行く組。

今日はその出発組の見送り


「じゃいくよ! 」

「うぅ、ナゼ私なのですぅ……

歩くのキライ、靴ズレするですぅ!」

勇者田口と聖女市原は、魔王軍の残党討伐と、魔王が支配していた地域の調査組


「気をつけてね 、田口さん市原さん無理の無いように。多分ないだろうけど、危なくなったら私の作った、転移アイテム使って逃げてね」

居残り組の賢者 加藤

王都に残り作物や魔法・魔道具の研究

ついでにしげるの護衛


「気ぃつげでいぐんだぞぉ。おらがついてけねぇから、ちっと不安だども、たぐっちなら大丈夫だぁ。あと、おみやげよろすくなぁ」

同じく居残り組の剣士 畑

メインはしげるの護衛

ついでが王都周辺に出る魔物討伐


「勇者さん、聖女さん気をつけてくださいね

いってらっしゃい。帰って来たら、腕によりをかけて美味しいごはんで、おもてなししますね!」

しげるは腕まくりしながら、元気に笑う


「しげるのごはんが食えないのは辛いが、さっさと済ませて帰ってくるから旨い物を頼む!」

勇者田口は爽やかイケメンスマイルで、しげるの肩をバシバシ叩きながら、ぐずる聖女をちらっと見る。


「しげるさんのごはん食べられないなんてぇほんと泣きたいですぅ、うぅ……

歩きたくないですぅ、勇者様なんだからけんすけ1人で行けですぅ。私行きたくないですぅ」


聖女市原は、相当ぐずりながら出発(勇者に引きずられて)して行った


しげる達は、笑いながらそれを見送る

その後2人が見えなくなった後。

賢者は研究の為王城に戻る、しげると畑は、今は閑散としたキシリタール王都のメインストリートにある、元定食屋だった店舗に入っていた。


「さぁて、2人が帰ってくるまでに、僕も今までできなかった料理を作って、帰って来たらご馳走を出して喜んでもらうぞ!

でもその前に、掃除だなぁ、はぁ」

しげるは口に布を巻き、右手にはたき、左手に雑巾の武装で、蜘蛛の巣だらけ埃まみれの店内を見て呟く


「んだぁ、しげっち。飲食店に食中毒はいがんからなぁ。きっちり掃除してピカピカにすっだ!」

口はノーガード、両手にほうきをしっかり持ち、剣の素振りのように振りまくる掃除人・剣士


2人の戦いが今はじまる!

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