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シャリシャリ
お題:「弾む」を使って【知りたくない】をイメージした作品。
「ただいま。これ、土産」
1泊2日の出張から帰ってきた夫がやたらと弾んだ声で差し出したのは、TVで行列ができて即完売になると紹介されていた梨のタルトがひとつだけ。
「あなたの分は?」
「1個しか買えなかったんだ。君が食べていいよ」
ぽつんと寂しそうに箱に入ったタルトをひとくちかじる。
「それ本当においしいよね」
「……ええ」
シャリシャリした歯ごたえの梨のコンポートはまるで砂みたいに味がしなかったけれど、無理矢理作った笑顔で答えた。
しばらく不倫シリーズ連投するかもしれないです。