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嵐の後の願い
「叶う」を入れて《心配》をイメージした作品。
帰ってくる。
帰ってこない。
くる、こない、くる、こない……くる。
千切った花びらが一片ずつ、ひらりひらりと籠の中に落ちる。
お国のために兵役を志願した彼の無事を願った花占い。帰還を告げた花びらだけを陰干しにしてポプリにする。
そうやって、部屋にポプリが増えていく。甘い香りが満ちていく。
息が詰まるほど甘い香りが満ちた頃、唐突に扉が開いて一陣の風が甘い香りを拭い去る。
「只今、戻りました」
待ち望んだ声が願いが叶ったことを告げた。
嵐の前・後。
それぞれ読み切りですが、実は(っていうほどのことはない(^^ゞ)連作でもあります。
やはりターシャの生活に憧れます。
心配のあとの爽やかな読後感を目指しました。




