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少年ガーディアン  作者: 銀狐
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少女と集落

 少年はある集落に住む、変哲もない少年だった。彼は集落にある本という本を読み尽くした。別に本が好きだと言うわけでも無く、只単に暇だったからだ。集落には彼と同じ年齢の子供はなく、周りには自分の親と同じくらいの年齢の人間ばかりだった。

 少年はいつしか世界の中心、神が座る座に興味を持ったのである。その頃少年は齢14歳だった。

 年月が流れ、集落の人間に戦いの技術を教えられる歳に成り、彼が狩りに帰った時、彼は絶句した。白い髪、鋭く尖った刃のような目つきの少女がいたのだった。その少女は自分の身の丈の倍近くある猪を追いかけていた。それが少女と少年の出会いである。

 集落に帰ると先ほど見た猪が横たわっていた。その上には少年の思ったとおりの光景だった。白い髪の少女が寝ていたのだ。集落の人間は少女を怪しんだ。誰だって自分の地域に異常なものを持っている人間を見たら警戒はする。すると、少年は少女に軽く木の実を投げた。

 少女はボサボサになった髪を掻きながら辺りを見回した。知らぬ光景、周りにいる知らない人間。決して手を出さないとは言い切れない人間たちを見ながらも少女は猪の上から降り、手を頭上に上げ、抵抗しない意思を見せた。

「私は貴方方が仕掛けない限り、危害は加えない。」と言う少女の腹から小さく腹の虫の鳴き声が聞こえた。

 少年はどっと笑いがこみ上げてきた。しかし、不審な人間を見逃すほどこの集落の人間は落ちぶれてなどはいないのだ。正体不明なものはその正体が解るまで縛りつづけ、害を加えるものならば即打ちのめす程冷酷であるが、害を加えないならばその者を迎え入れる柔軟性も持ち合わせている。

 集落一の力自慢の男が白髪の少女を縛り上げる際にこう尋ねた。

「お前は何しにここへ来たのか?いや、お前はここを襲うのか、否か」

 少女はその問いにこう答えた「ここに私の親がいるなら殺さなければならない」集落の人間は唖然としていた。自分の親を殺そうとする人間がいるとは思っても見なかったからである。

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