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無事、ヴェント・ギルドの受付嬢たちと合流した俺たちは、ひとまずフォレボワ・ギルドの受付嬢が待機している場所まで戻る。
「帰ってきたカ」
「あ、来てたんだ、彼氏いない同盟の我が同胞、リティシアちゃん!!」
「お前ガいるかラ、大丈夫とハ思ったガ、前情報がないからナ」
フォレボワ・ギルドの受付嬢を見つけたヴェント・ギルドの受付嬢がのたまう。色々言いたいことはあるが、とりあえずスルーしておく。フォレボワ・ギルドの受付嬢もスルーの方向だ。
「そうです!!ここ、落盤の可能性があるので、くれぐれも先ほどのような言動は控えてください!!」
先ほど、よっぽど肝を冷やしたのだろう、シャルロッテが強めに言う。しかし、どこかのほほんとしているヴェント・ギルドの受付嬢と親衛隊のじいさんたちを見るに、不毛だろう。
「それなんだけど、ここの探索はやっぱりアタシが受け持った方が良いと思う。ナニがあっても対応できるし」
ヴェント・ギルドの受付嬢が自信ありげに言い、フォレボワ・ギルドの受付嬢が肯定を示す。何気に、ヴェント・ギルドの受付嬢は探索方面に優秀な人なんじゃないかと思い始めてしまう。
実際、三人とは言え、民間の老人を連れ歩いての探索は、余程無謀か優秀でなければできない。フォレボワ・ギルドの受付嬢が苦情をこぼさないことから、ヴェント・ギルドの受付嬢の行動は後者なのだろう。普段が酷すぎて、優秀なのに色々残念な人だ。
「俺も純土属性のアンジェリカさんに任せるべきだと思います」
「ワタシもダ。後で本部ニ、報告しておク」
「それと、リティシアさん、プリヘーリヤに聞きたいことがあるので、伝言を頼めませんか?」
「分かっタ。冒険者に伝言ヲ頼むようニ、ハトを飛ばそウ」
この話した端から、事務処理も済みそうな安心感はフォレボワ・ギルドの受付嬢がいるからだろう。
「それじゃあ、ワシらはアンジェリカちゃんと探索を続けるとするか」
「こう見えて、若い頃はジョルジェットたんが出す難題に答えたものよ」
「ゴーレムの欠片(頭部)の鉢に、七色の玉の枝に、火鼠の皮に、ドラゴンの首の珠に、コンドルの産んだ子安貝じゃったか」
駄目だ、これ、なんか色々ごっちゃになっている感じだ。
「あ、あの伝説って本当だったんですか?デュマさんから武勇伝を聞いてますよ」
そして、感心しながら言うヴェント・ギルドの受付嬢。マジか。
「それなラ、心配ハいらなイ。どれも、伝説となっタ素材ダ」
「フォレボワでも思ったんですが、この辺りの民間人は民間人のくくりに入れて考えてもいいのでしょうか?」
目の前の光景にシャルロッテがなんともいえない様子で言った。




