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闇属性僧侶のあんまり平穏じゃない日常  作者: 水可木
八章 迷宮と新手の試練
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 目を覚ますと、ギルドに行くのに丁度いい時間になっていた。

 起き上がって辺りを見れば、シャルロッテとマルガレーテが俺を挟んで同じベッドで寝ていたが、これに関してもう気にしないことにした。

 先に仮眠をとらせていたアリスたちは朝食でも食べにいったのだろう。部屋にいなかった。

 ローブのシワを伸ばして、軽く身なりを整えていると、シャルロッテが目を覚ます。

「あ、クラウディオさん、おはようございます」

「ああ、おはよう」

 むくっと起き上がったシャルロッテがマルガレーテを起そうとしていたので、思わず制止してしまった。

「どうせ、探索は頃からになるんだから、休ませてやれ。ギルドの報告は俺一人でも大丈夫だから、シャルロッテも寝ていて良いぞ」

 スキルフル稼働のマルガレーテはもとより、暗視のないシャルロッテの疲労もかなりのものだろう。休めるときに休んで欲しいと伝えれば、シャルロッテがどこか嬉しそうに微笑む。

「分かりました。お言葉に甘えて、マルガレーテちゃんともう少し寝ています」

 そう言って、ふぁあと欠伸あくびをした後、ころんと横になる。

「昼食前には起すから、安心して寝てろ」

 仕度を済ませた俺は、書類を抱えて部屋を出る。

「これって、事後みたいですね」

 などとのシャルロッテの爆弾発言は聞かなかったことにした。

 キッチンに向かえば、アリスたちが子供たちと朝食の奪い合いをしていた。

 親衛隊のじいさんたちは、にこにこ見ていないで止めるべきだ。そう、ぼんやり眺めていて気がついた。よく見れば、昨日の親衛隊のじいさんたちと違うじいさんたちだった。何人くらいいるんだろうか。

「おや、フォルケッタ君、どこかに用事かの?」

「…………クロードです」

 完全にcoltelloからの連想ゲーム化している。

「そうじゃった。すまんの、クッキアイオ君」

 多分、このじいさんは耳が遠いのだろう。そうだ、それなら仕方がないと思うことにして、さっさと立ち去る。

「クロ助、朝ごはん食べないの?」

「ああ、俺とシャルロッテ、マルガレーテのは要らない」

 キッチンを出ようとすると、アリスが声をかけてきたので、応える。

 取り分が増えることがわかった火属性どもが、目を輝かせた。これ、祖母に食費を渡さないと心苦しいかもしれない。

 溜め息をつきつつ、ギルドに行けば受付嬢が受付で寝ていた。

 多分、俺は怒っていい。

「起きてください」

「それハ、なかなか起きナイ」

 ゆさゆさ受付嬢を揺さぶっていると、奥から声がした。

 懐かしい声だと思っていると、見慣れた巨躯が現れる。フォレボワ・ギルドの受付嬢だ。

「久々です。こちらに用事ですか?」

「本部に掛け合っテ、お前たちのサポートをすルことニなっタ」

 重低音の声が心強い。どうしよう、この安心感。

「それは有り難いです。ヴェント周辺の地下洞窟についての調査の途中経過の報告を持ってきました」

 書類を渡せば、ぱらぱらと高速で読み始める。これぞ受付嬢の鑑だろう。

「分かっタ。街道カ。厄介だナ。これモ本部に報告しテ、冒険者ヲ派遣して貰ウ」

 ふむ、と納得した受付嬢が言いながら書類を書き出す。本部に提出する請願書類かなにかだろう。

「って、これもってことは、フォレボワも派遣要請出したんですか?」

「ああ、デュマ夫妻ガ違う町ニ行きたがったのでナ。熟練のモノを要請して来タ。多くハ、このヴェントから行った見たいでナ、冒険者ガ居なかっただろウ」

 さらっと、とんでもない事実をのたまった。つか、俺の両親なにやってんだ。

「街道の調査ナラ、熟練でなくとモできルだろウ」

 話している間に書き上げた受付嬢が、ハトに取り付けやすいように折っていく。

「そうですね」

 引き続き、俺たちもできる範囲で協力することを要求されたあと、俺はひとまず宿屋に戻った。

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