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闇属性僧侶のあんまり平穏じゃない日常  作者: 水可木
八章 迷宮と新手の試練
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 アリスのおかげで、さくさくマッピングが進む。それ以上に俺のHPの消耗が酷いことになっているが気にしない。これが通常運転だ。

「このあたりが怪しいか」

 目星をつけたあたりで立ち止まる。

「あ、壁の向こうに通路発見!!」

 ずもずも動く壁の向こうに空間を発見したアリスが嬉しそうに叫んだ。結構反響するので、モンスターがたかってくるので、回復させてもらった。

「じゃあ、そっち行ってみるか」

「とう!!」

 言い終わらないうちにアリスが飛び出すが、トラップがあったらどうするんだ。慌てて俺も後に続くが、どうやらトラップはなさそうだ。

「ちょっと待て」

 ふと、カース・ガイドをかければ、やはり天然洞窟の方だった。

 別紙を取り出して、そちらにマッピングを始める。迷宮の地図と座標を紐付けも忘れない。

「おおー。罠がないと歩きやすいね」

「普通はお前ほどトラップにかからないからな」

 すたすたと天然洞窟を歩いていれば、やや広い場所にやってきた。俺たちが入ってきた通路以外に三つほどの通路と接続しているようだ。

 マッピングしてみれば、通路はそれぞれ東西南北に伸びているらしい。俺たちが入ってきたのは、南の通路になるようだ。

 配置が人口的すぎることもあって、迷宮内を疑った俺はすかさずカース・ガイドをかけるが、天然洞窟であっているようだ。

「すごーい!!街道みたいだね!!」

 感心しながらアリスが辺りを見渡している。確かに、馬車一台なら通れそうな道幅はあった。

「トラップがないからって、あんまりふらふらするなよ」

「分かってるって、あ」

 何かに躓いて、アリスがこける。勿論、俺を巻き込んで、だ。怪我をされるよりはマシだと思うことにして、下敷きになっていると、俺は目の前の地面に見つけてしまった。

「アリス、これ、わだちだ。松明をつけてくれ」

「いいよ!!」

 アリスは俺からおりると、松明をつけて辺りを照らしてくれた。

 俺は起き上がると、中腰で辺りを探す。するとあちらこちらに車輪の跡ができていた。

「水溜りでもあったのか」

 どうやら轍が見られるのはこの開けた空間だけで、南北の通路はこの空間に接続している箇所から少々の場所までしか見当たらなかった。東西に至っては全くついていない。

「東か西の通路に行ってみるぞ」

「了解!!じゃあ、わたしが先頭行くから西に行ってみよう!!」

 どちらでもいいので、アリスに任せる。

 暫く歩くと、泉に出た。

「おい、あのテント」

「エっちゃんのおじいさん家に出るんだね!!」

 ただし泉を泳いで渡らなければ、行けないのだが。

「じゃあ、一回戻って、東に行くか」

 マッピングを済ませて、引き返す。

 再度、開けた空間に戻って、東の通路を歩いていると、視界の端にキラリと光る何かを見つけた。

 軽く掘ってみると、魚の骨が出てきた。

「凄い!!陸地に魚がいたのかな?」

「逆だ。水が枯れてできた通路なんだろ」

 今はそれだけ分かればいいので、程ほどで戻る。

「おそらく本来道として使っていたのは南北の通路なんだろう」

「車輪の跡あるしね!!でもドコに繋がっていたのかな?」

 本格的に街道っぽいので、ここの調査はギルドに報告してからにした俺たちは来た道を引き返しながら話す。一応、ヴェント方面に繋がっていそうな南側は出口までいけそうならば調査するつもりだ。

 余り続くようなら、こちらの調査も後日と思い始めた頃、行き止まりに辿りついた。大分、自然に帰っているが、もとは人工的な戸であったらしい行き止まりに、どうしたものかと眺めていると、俺の横でアリスが屈伸を始める。嫌な予感しかしない。

「おい」

「とう!!」

 掛け声とともに、アリスが飛び蹴りをかますと、行き止まりが大破した。

 土ぼこりに俺一人が咳き込んでいると、土煙の向こうに夜空が見えた。

「ここが、出口みたいだね!!」

 けろっとしているアリスが、外に飛び出したので、俺も続く。未だに咳で発言できないので、文句も言えない。と言うか、なんでアリスは平気なんだ。

「クロ助、大丈夫?」

「だ……だい……じょ……ぶ……に、み……え」

 げほげほと咳き込みながらも、辺りを見れば、畑のど真ん中だった。持ち主には多分謝罪がいるレベルの大穴が畑の中央にできてしまった。コレ、調査要るんなら、多分もう畑として使えないかもしれない。

「おおー!!町に近い!!」

 アリスが指すほうを見れば、思ったよりも近い場所に町の明かりが見える。まあ、本当に街道として使っていたのならば町の側に出て然るべきではある。

「俺たちの調査はコレで終わりにして、マルガレーテとナスターシヤと合流するぞ」

 漸く咳が落ち着いた俺は、そう言うと、地上から迷宮に向かった。

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