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闇属性僧侶のあんまり平穏じゃない日常  作者: 水可木
七章 迷宮と問題の山
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 その後は、テイスティ・マーモットの幻覚(あられもない格好の巨乳痴女)にマルガレーテが荒ぶるくらいで、つつがなく狩りができた。

 動く壁については、慣れれば、音がした後に移動するくらいで回避できるので、途中からは余り気にしなくなっていた。

 暫く狩っているうちに、俺は疑問を持ってしまったので、アサシンのくせにテイスティ・マーモットに殴りかかっていたマルガレーテに声をかけてみる。

「マルガレーテ、テイスティ・マーモットの幻覚は全部同じなのか、それとも違うのか?」

 火属性でもないくせに、重たいこぶしをお見舞いしていたマルガレーテは手を止めずに、こちらを見て首をかしげる。器用なやつである。土属性なので器用値は高いのだが。

「そうですね、同じのもあれば違うのもあります。大丈夫です!!あたしはこれから育ちますから!!」

「同じときもあるのか」

 後半は聞かなかったことにして、辺りを見回す。

「マルガレーテ、そいつを始末したら、周辺に昼間には現れなかった空間がないか調べてくれ」

「はいはいはい!!お安い御用です!!」

 光速で仕留めると、晴れやかな笑顔で肉を回収して、離れていた俺の側に戻ってくる。

 切り替えも早いマルガレーテはすぐに集中して、周囲を探る。こういうとき、探索スキルがあるのは本当に便利が良い。

「こっちに結構広い空間があるみたいです」

「行ってみるか」

「はい!!でも、急にどうしたんですかー?」

 マルガレーテ先導で進む。山盛りのトラップもあるので、探索スキルフル稼働なのだが、雑談する余裕があるあたりはさすがだ。

「いや、テイスティ・マーモットが見せている幻覚に関して思うところがあるんだ」

「マルガレーテの王子様も好きなんですね。もうこれは二人で育てようってことですよね!!あたしとしては大歓迎です!!」

「お前と育てるモノは何もないからな!!そうじゃなくて、お前とじいさんが見た幻覚が同じものっぽいだろ?その後も違う個体が同じ幻覚を見せたり、テイスティ・マーモット側にその痴女の情報源があるんだと思ったんだ」

「そう言えば、そうですね!!」

 そうこう話しているうちにマルガレーテが発見した空間に辿りついた。

 入って一歩で、思わずマルガレーテの視界をさえぎったのは、あられもない痴女のポスターが貼られていたからだ。これ、アウトだ。

「マルガレーテの王子様ったら、こんなプレイが好きなんですねー!!」

「違う!!」

 しかし、これ、確認のためには見てもらわないといけない訳で、しぶしぶ見せる。

「……マルガレーテ、幻覚はこんなヤツだったかって、おい!!」

 ポスターやら、床に散乱する子供には見せられない本を視界に入れたマルガレーテは、にっこり笑顔になると、クナイを持ち出した。

「滅べぇえええええ!!」

 止める間もなく無数のクナイが飛び交い、紙を切り裂く。ちょっと洒落にならない。ぶっちゃけ、気まずさも吹っ飛ぶ迫力だ。

「おい、落ち着け!!」

「安心してください。あたしは成長途中なので、マルガレーテの王子様の好みに沿うように頑張りますから、何も問題ありません!!」

「いや、問題しかないだろ!!」

 紙ふぶきが舞う中、力説するマルガレーテ自体も大分大丈夫ではない。

「塵になれぇえええええ」

 本当に微塵になるまで、マルガレーテの攻撃は続いた。

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