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闇属性僧侶のあんまり平穏じゃない日常  作者: 水可木
七章 迷宮と問題の山
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 ボス部屋を抜け、更に地下へ進むと、そこはヒカリゴケが青白く輝く通路だった。

 一本道の先には地下へのくだり坂があるので、地下一階半といったところか。

 よく見渡せば、通路には片側につき三つの部屋があり、計六部屋あるようだ。

 この配置はアレだ。

「わぁああ、クロ助、家みたいだね!!」

 そう、普通に家の中っぽい。普通の家の中はヒカリゴケで青白く輝いていないが、間取り的には家としか言いようがない。

「マルガレーテの王子様、こっちはキッチンみたいです」

 特にモンスターが湧く場所でもないので、好き勝手に見て回っているが、コレ確実にナスターシヤの居住空間だろう。

「あれ?こっちの部屋はなんだい?」

「……サウナ」

 ひょいっと、一番手前の部屋に顔を突っ込んでいたMが不思議そうに訊ねると、ナスターシヤが答える。サウナ完備の迷宮はどうなんだろうか。キッチンの時点でも色々酷いげれども。

「……その隣、寝るところ。キッチン隣はプリちゃんの部屋」

「あのトラップ、部屋あんのかよ?!」

 衝撃発言に思わず口に出して言ってしまった。

 ここまで突っ込みどころしかないと、いっそ清々しい。迷宮の仕掛け化したプリヘーリヤと言い、この兄妹が迷宮に与える影響は笑えないものがある。どうしてこうなった。

「拠点としては充分ですね。ヒカリゴケのおかげで、ランタンも必要ないですし」

 一人通路の真ん中で考え事をしていたシャルロッテが唐突に言う。見れば、ランタンをしまって、ヒカリゴケの採取をしていた。この子、ヒカリゴケをアイテムとして使う気だ。

 ひとまず、この先を探索して、今晩はここに戻って一泊するかと、考えていたときだった。

 ずっずっと何かを引きずる音がした。

 万が一に備えて、戦闘態勢のままナスターシヤの寝室に隠れる。

 暫くすると、影が現れた。固唾かたずをのんで見ていると、それは血まみれの藁人形だった。ラピッド・ボアと思われる肉塊を引きずりながら、青白く輝く通路を歩いている。

 どう見ても、ナスターシヤの食料を調達してきたプリちゃん人形だ。

 しかし、前情報がなければ肉塊を引きずり歩く等身大藁人形と、ただのホラーである。青白い通路が無駄に雰囲気を出しまくりだ。

 ただし、前情報があると、帰ってこないナスターシヤのために食事を用意する健気なプリちゃんの姿が別ベクトルの精神攻撃を仕掛けてくる。忠藁人形プリちゃんといったところか。

「ナスターシヤとシャルロッテは暫くここに待機するか?」

 キッチンに消えるプリちゃんの背中を見ながら、思わず言っていた。

「そうですね。戦力的に私は地下迷宮に向いてないですし、ナスターシヤちゃんも今回は戦力外ですから、それも良いと思います」

「……留守番する」

 結構合理的な二名は、少し考えるそぶりをした後、納得したようにこたえる。

「それなら、キッチンを借りましょう」

 そうと決まれば、シャルロッテが朗らかに言う。今現在、キッチンにはプリちゃんがいるのだが、シャルロッテは気にしない。

「って、おい、なにやらかす気……」

 最後まで言う前に、ブリザードがキッチンを襲う。考えるまでもなく犯人はシャルロッテである。思い切り良すぎだろう。

 そして、あっと言う間にプリちゃんを通路に押しやった。どこか恍惚な様子で震える藁人形は、気にしたらおしまいだ。

「これで、キッチン使えますね」

 そう言うシャルロッテの笑顔は眩しかった。

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