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闇属性僧侶のあんまり平穏じゃない日常  作者: 水可木
六章 迷宮と冬至の祭
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 はぐれラピッド・ボア狩りは、欲望に忠実な三名によって、五頭が犠牲になった。

 あかつきが眩しい現在、俺の目の前のポップラの切り株の上にはラピッド・ボアのバーグが並んでいる。

 尚、なんで真夜中の見回りに調理器具を持ってきていたのかは、スルーすることにした。これ以上正気をがりがり削りたくはない。

「さあ、あたしの愛とか愛とか愛をこねたバーグをどうぞ」

 徹夜のテンションではなく、通常運転のマルガレーテがフォークを向けてくる。だから、やめろください。本当にマジで。

「おおー。これはカップルっぽいね!ねぇ、エっちゃん」

「おやおや、アベックかい?そのなんだ、ほらよっと」

 何故、Mまで顔を赤らめながら、フォークを向けてくるんだ。

「そういえば、Mさんはマルガレーテの王子様の内縁の妻だったけ」

 ぼそっと、呟いたマルガレーテは納得する。お前も、なんで普通に納得しているんだ。シャルロッテとナスターシヤがやらかしたときにも思ったが。

「っは!わたしも許嫁だった!!」

 思い出したとばかりにアリスも真似をしてくる。

 自分の取り分が減ってしまうと、苦渋の表情を浮かべるくらいならば、やるなと言いたい。

「もう、お前ら三人で食べさせあってろ」

 徹夜明けにボリュームたっぷりのバーグは現実問題、結構キツいかったりするのだ。

「はい、シャルロッテに用意してもらった胃凭いもたれに効く薬草です」

 げっそりしていると、横からマルガレーテが薬草を差し出してきた。本当に絶妙なタイミングで気が利くやつである。

「アリスさんとMさんは……」

「あ、へーきだから要らないよ!」

「あたいも平気だ!!」

 だろうと思った。

 こいつらの胃袋は本当にどうなっているんだろうか。

「ところで、マルガレーテの王子様、昼間の見回りはどうします?一通り調べて、大丈夫そうですけど」

「子供が遊んでいるのが不安なんだよな」

「なら、シャルロッテとナスターシヤちゃんが見回ってくれると思います。それから、アリスさんとMさんは放っておいても見回ると思いますよ。キッシュをほのめかしておいたので」

 感心しかけていた俺は、むせた。

 おい、なに食い物でアリスとMを釣っているんだ。マルガレーテの誘導に釣られてくれるのが一番平和だったりするけれども。

「なので、昼間は仮眠を取って、最終日の今晩に体力を温存しましょう!!」

「そこなのか?!やっぱり、そこにいきつくのか?!」

「大丈夫ですよー!今晩はあたしたち以外は、きっと熟睡ですからー」

「大丈夫じゃねーよ?!」

 ナニこの子、怖いんだが。

「それじゃあ、あたしたちはシャルロッテたちと交代ですねー」

「あ、交代するんだ!肉の確保はわたしたちに任せてね!」

「じゃあ、ケロの字たちも後で」

 そして、俺を他所に何故か決まっていく。お前ら、覚えてろよと心の中で言ったのだった。


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