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闇属性僧侶のあんまり平穏じゃない日常  作者: 水可木
六章 迷宮と冬至の祭
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 ラピッド・ボアの一掃は短時間で終わった。

 問題は目の前のトラップ、プリちゃん人形だ。

 俺の攻撃は基本、即死を含む状態異常とドレインのみである。一応まがりなりにもクレリックなので、そもそも攻撃は専門外なのである。

 つまり、トラップ破壊に必要な物理攻撃系のスキルを全く持っていないのだ。

 また、回避が高いため、罠対策をする必要もないので、対トラップ用の解除や解体スキルもない。どの道、トラップ解除などのスキルは土属性スキルで、闇属性にはそれ系統のスキルはないのだが。

 ここにきて、困ったことになった。

「ナスターシヤ、投擲いけそうか?」

 現在、有効そうなのはナスターシヤの投擲スキルくらいしかない。

「……る」

 言うと、手ごろな石というか、最早岩くらいの大きさのモノを投げた。仮にも兄の名前をつけた藁人形に対して、一切の躊躇ためらいがない。

 ナスターシヤが投げた岩は見事にプリちゃん人形に当たる。

 しかし、全く効いていない。

 そして、ふるふる嬉しそうに震える姿が気持ち悪い。これ、本当にベースが人選ミスすぎる。

「……そこ、似て欲しくなかった」

「とりあえず、明後日までは持つだろう。多分」

 プリちゃん人形はナスターシヤの攻撃に満足したのか、うにょうにょ動きながら、立ち去る。追いかけたくないので、とりあえず、解決したことにする。

 これに関しては、明後日、アリスかMあたりに破壊してもらおう。

「よし、帰るか」

「……うん」

 帰るとならば、大量のラピッド・ボアの死骸から素材を剥ぎ取る作業をしなければならない。

 俺はナスターシヤと手分けをして、毛皮や肉などを手に入れる。

 すぐに道具袋がいっぱいになるので、今日は迷宮と町との往復で時間がつぶれそうだ。

 一通りつめて、外に出ると、何故か祖母が町の老人たちを引き連れて待機していた。

 町の老人たちは“ジョルジェットたん・らぶ”の鉢巻をしていたが、俺の目には入らなかったことにしたい。それはもう、切実に。

「ああ、やっぱり、肉が沢山だねぇ」

 嬉しそうに言うので、思わず祖母に肉を渡す。

「こりぁあ、いいのを持ってきたのぉ」

 ご老人がほおと感心しながら言う。

 すると、他のご老人たちも集まってきた。

「ジョルジェットちゃん、あっちの肉は運んできたよ」

「ジョルジェットさん、肉はワシが焼いときますんで、ささ、こちらに座ってください」

 おい、そのじいさんたちは何なんだとの突っ込みは飲み込む。あの鉢巻の時点で、絶対に藪から変なモノが出てくる。

「中にまだ、沢山あるんで、俺取ってきます。ナスターシヤを頼みます」

 町まで行く手間が省けるならば、良いかと思うことにして、俺は肉を運ぶ作業を開始する。毛皮には用がないのか、受け取らないので、ナスターシヤに預ける。

 そうして、昼過ぎ頃、漸く一通りの作業が終わった。


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