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闇属性僧侶のあんまり平穏じゃない日常  作者: 水可木
六章 迷宮と冬至の祭
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 スコーンを作ったあと、子供と遊ぶアリスは無視して、二度寝をしたのだ。

 コレが間違いだった。

 俺が起きて、キッチンに向かうと「お前の朝食ねーから」状態だった。

 あれだけ作ったスコーンは俺以外のみんなで食べつくしたらしい。

「あ、ケロの字、ごめんよ!美味しくてつい」

「マルガレーテの王子様、はいっ」

 悪い悪いと悪気なくMが言った後、調理を終えたマルガレーテが皿を持ってやってくる。もう、こいつが嫁で良いんじゃないかと思ってしまった瞬間だった。

 ただし、皿の中身を見るまでは。

「マーモットの丸焼きです!」

「確実に、お前の好物だよな?てか、それマーモットじゃねぇよ。イエネズミだろ?!」

 朝っぱらからナニやってんだ。

 マルガレーテは残念とか言いつつ、普通に食べる。こいつマジでネズミ食うのかよ。

「マルガレーテちゃんは雑食ですから」

「いや、イエネズミはさすがに雑食で流したらやばいだろ?!」

「大丈夫です。マルガレーテちゃんの雑食は子供のころからなので、耐性ありますし」

「耐性できる時点で全然大丈夫じゃねぇよ?!」

 朝食にありつく前にぐったりする。

 ばたんとイスに座ったままテーブルに突っ伏すと、視界に受付嬢の茶色の頭がドアップで入る。人のことをいえない自覚はあるけれども、この人、ひとん家でなにやってんだ。

「……足りない。足りない。色気が足りない。色気ぇええええええ」

 奇声を発し始めたので、触れないことにする。

 朝っぱらからよそ様の家のテーブルに突っ伏して奇声上げる時点で色気どころか、人間性すら足りていない。

「しっかし、あと二日も足止めか」

「あ、クロ助、子供たちが、あとで遊ぼって言ってたよ!!」

「……ナスターシヤも遊ぶ」

 俺がうめいていると、アリスが伝言をくれた。それに反応したナスターシヤがそわそわしているのを見ると、子供と遊ぶのはアリかもしれない。

 子供というのは大人以上に地理などに明るいものだ。

 迷宮のモンスターが基本的に周辺に生息していた生物をモトにしていることを考えると、町の周辺探索を兼ねて遊ぶのも良いかもしれない。

「じゃあ、準備ができたら、遊びに行ってみるか」

 俺が言うと、アリスとナスターシヤが喜ぶ。アリスは満面の笑みだが、ナスターシヤは相変わらずの無表情で。

「俺たちはヴェントの子供と遊んで来るが、お前らはどうするんだ?」

「はいはい!!あたしは買出しに行ってきます!!先遣の冒険者が持ち帰った素材で良い装備品がないか調べたいですし」

「私も買出しですね。収穫後なので、食材に期待が持てそうです」

「あたいも買出しに行くよ!面白いアイテムがないか見たいんだ」

 どうやら、買出しに行くらしい。祭時なので、ギルドのように閉まっているところもあるが、市場や蚤の市は個人的にやっている人もいる。なお、ことごとく高齢の店主ばかりなのは祭の内容が内容だからだろう。

 シャルロッテとマルガレーテは良いとして、Mが不安だが、ここはフォレボワではない。マリアさんがいないので、大丈夫だろうと思うことにした。


 

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