表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇属性僧侶のあんまり平穏じゃない日常  作者: 水可木
五章 迷宮と若き研究者
42/130

42

 ナスターシヤの兄貴ことプリヘーリヤから話を聞いたワケだが、荒唐無稽すぎて信じられないというのが本音だ。

 俺たちは現在、プリヘーリヤの要望どおりに、キャンプをしながら説明を待っている。やることと言えば、この部屋周辺のモンスター調査くらいで、後は気ままに過ごしていた。俺以外が。

 べったりくっつくマルガレーテの通常運転には慣れてきていたのだ。そこに、俺の両親が燃料のガソリンを注いでくれるので、くっつくというか、絡みつく勢いになり、辟易している。火属性でもないのに、身動きできないとか、どんだけからんでいるんだ。

 アリスとMの脳筋コンビはこの部屋を広げてプリヘーリヤをどうにかしようとしているようだが、びくともしないのはマルガレーテが実証済みである。

 シャルロッテとナスターシヤはプリヘーリヤの書き物を見物しては、こっちに報告に来る。シャルロッテはお前の友人をどうにかして欲しい。

「ところで、あのナスターシヤの兄貴、どう思う?」

 シャルロッテがこっちに報告に来た際に、考察を聞こうと話しかけた。

「マルガレーテの王子様の方がカッコイイに決まっているじゃないですか。もう、あたしの愛は永遠です!!」

「そんなこと全く聞いてない!!」

「そうですね。迷宮と同化なんて、何を考えていたんでしょう?ナスターシヤちゃんを置いて行って」

 にっこりと微笑むシャルロッテが黒い。お前、闇属性じゃなかっただろうと思うくらいにおどろおどろしい何かをまとっている。

「当時のフォレボワの連中との関係もだよな。普通、ぽっと出の余所者に重大なことを任せられるものなのか?切羽詰っていたって言えばそうなんだろうが」

 本人はいたって泣き虫の雑魚オーラーを醸しているのだが、状況が奇異すぎた。

「ナスターシヤちゃんもどこまで気がついてヴェントにもぐりこんだかですよね」

「当時はもっと小さかったんだろうしな」

 兄貴の図に容赦の無いつっこみを入れるナスターシヤを三人で眺めながら言う。誰からとも無く溜め息が出てくる。

「クロ一号、元気がないぞ!!」

「そうよ?クロ初号機ちゃん。あなたはあんなに泣くのがお仕事だったじゃないの!!」

「あんたらが置き忘れたとき、俺、生後何ヶ月だったんだよ?!」

 まじめに考察をしたかったのに、駄目両親どもが中断させる。そもそも、マルガレーテをべったりくっつけておいて、まじめもなにもないと思うのだが、俺的にマルガレーテは腕装備の何かだ。

「それでは、また後ほど」

 あ、シャルロッテが逃げやがった。まあ、この両親なら逃げたくなると言うものだ。

「なんで、こいつらが親なんだろう」

 嘆きの溜め息が出るのは仕方がない。

「おお、クロ一号、溜め息は幸せが逃げるぞ」

「そうよ?クロ初号機ちゃん」

「お前らが現れた時点で、俺の幸せは消し炭だ!!」

「マルガレーテの王子様。マルガレーテの王子様のことは、あたしが責任持って幸せにします、肉体的にも精神的にも、肉体的にも!!」

 なんで肉体的を二回も言ったのか問いただす勇気が今の俺にはなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ