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闇属性僧侶のあんまり平穏じゃない日常  作者: 水可木
閑話 迷宮と奇怪な青年
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 あのですね。

 あ、オレの名前ですか?プリヘーリヤ・スヴィドリガイロフです。

 はい、フォレボワの出身ではありません。

 フォレボワに来たのは、迷宮の調査です。ウダール・モールニ村って知っていませんか?

 あ、知りませんか。最後だと思われる迷宮が出現した村なんです。オレはそこの出身です。

 オレの時代でも迷宮が出現した理由を知っている人はそんなにいません。まあ、酔っ払いがやったことですから。

 ああ、そうですね。

 最後に出現した迷宮ですか?最早、手がつけられないレベルの産物ですよ。なにしろ「俺が考えた凄い迷宮ファイナル」なモノですし。

 多分、ウダール・モールニ村が現存しないのは、溢れてきたモンスターにやられたんだと思います。オレは間に合わなかったのかもしれません。

 あ、はい。もともと、迷宮から溢れてくるモンスターが問題化して、周辺の村や町を調べまわっていたんです。

 モンスターが溢れる理由ですか?それは、無限に湧くからです。ほら、迷宮内がいっぱいになると、外へ出てきて生息し始めるんです。もともとは、その周辺に住んでた生き物をベースにつくられてますから、可能だったんだと思います。

 そうです。手がつけられないと、勝手に溢れてくるので大問題だったんです。

 あのですね。別にみなさんをどうこうではなくてですね、オレのいたウダール・モールニ村には鬼子ってのがいてですね。はい、純属性の子供のことです。その、オレの時代には、キョウダイ間の婚姻はすっごく嫌悪を持たれていてですね、その間の子供も忌まれていました。

 その鬼子じゃなくて、純属性の子供が、手のつけられない迷宮に平気な顔をして遊びに行っていまして、それで、極端なステータス持ちの純属性ならば、手がつけられるということが分かったんです。

 でも、前にも言った通り、あの時代に純属性は殆どいませんでした。

 ちょっと前に言ったように、純属性は自然発生しません。ほら、モンスターには、純属性がいないでしょう?生物は必ず、混合属性でバランスをとっているんです。

 で、解決策が見つかっても、どうしようもない状態でした。

 それで、フォレボワのみなさんが言ったんです。

 自分たちの子孫を純属性にして、後始末をしてもらうと。

 そのためには、迷宮を封印するか、未来へ転送するかの二択になった訳ですが、封印方法が思いつかなかったので、転送することにしたんです。みなさんがご存知の通り、過去を代償に。

 オレはずっと、ここにいたんで、外の状況が分からないんですが、色々リセットされたようですね。

 え、ここが出現して十年経っているんですか。

 オレが普通にここに存在しているのは、オレに未来がないからだと思います。ナスターシヤはどうか知りませんが、オレは多分、この迷宮の一部として存在しています。この部屋の仕掛けだと思ってください。

 ナスターシヤは最後に会ったときよりも大きくなってますし、どちらかと言えば、モンスターに近い感じですかね。だから、迷宮の外でも存在できますし、生物として普通に過ごせます。

 オレですか?仕掛けですからね。この部屋から出られません。

 ああ、これ、ちゃんとオレが選んだことなんで。その、一人がさびしくて泣いていましたけど。ちゃんと、未来の人にヒントを渡すためにスタンバってたんです。

 あの、その疑わしそうな目、ヤメテクダサイ。本当ですから。

 そのヒントなんですが、あんまりにもざっくり過去がリセットされ過ぎて、手に余ってると言いますか。

 だから、残念なモノを見る目はヤメテクダサイ。自分でも、結構役立たずなのは自覚していますから。

 迷宮を作りだしているモノですか?それは、なんとなく予想しています。地殻変動って、知りませんよね。この予想通りならば、ウダール・モールニ村はモンスターよりもこっちの原因で滅びたんでしょう。

 そうですね、火山って知っていますか?まあ、知りませんよね。噴火してないんでしょうから、確信に変わりました。なになに、ナスターシヤも気付いていたようだね。

 あ、はい。ウダール・モールニ村は火山の側にある村でしたから、小さな子供にもある程度の知識はあります。

 その、火山と言うのはですね……の前に、大地が動いているっていうのは、知りませんよね。もですよね。

 あの、紙とペンを貸してください。そして数日待ってもらえませんか?

 ここまでなんにも知らないとなると、図解で説明しないと、伝わりそうにないですし。ええ、ここで時間つぶしをしてもらって結構です。すみませんね、迷宮の仕掛けなんで。

 

 

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