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闇属性僧侶のあんまり平穏じゃない日常  作者: 水可木
四章 迷宮と両親の帰還
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 そんなこんなで、攻略本を託された。

 俺の両親が立ち去った後、どれから手をつけていいのか分からなくなった俺たちが、本を囲んで座り込んでいた。

 一応、「ヴェントへ行く」という目標に違いはないわけだが。

「問題は迷宮の生成方法が解明したとして、それが解除できるかだよな」

 この本や石版を遺した奴らが、未来に丸投げした問題はソレなのだ。

「そうですね。何を使ったスキルかが分かりませんが、モンスターが無限に湧く仕様なのを考えると、恒久的な何かを使ったんだと思います。ただ、迷宮を生成させるほどのモノとなると、解除した際にどうなってしまうか想像もできません」

「はいはい!!マルガレーテの王子様!ネーベルはもう迷宮内に結構な人口が住み着いちゃってますから、今更解除は難しいと思います!!」

 丸投げてくれた問題は、更に厄介な問題まで抱え込みやがった。

 そうなのだ。なんだかんだ言って、迷宮は既に生活に密着している。フォレボワだって、迷宮が見つかったおかげで、農村から町になったのだ。

 それでも、フォレボワやヴェントの町はまだ良い。

 ネーベルのように迷宮内に多くの人間が住んでいるとなると、無くなって困るなんてレベルではない。

 それに、シャルロッテの言うように、迷宮を生成させることができる<何か>の問題もある。その<何か>をそっくりそのまま使用しているのならば、俺たちがその<何か>を正確に知ることは不可能なのだ。

「いや待てよ。この本のように情報を転送している可能性もあるのか」

「でも、酔った状態で何も覚えていないのでしょう?気がつきますかね?」

「……地殻変動」

 俺とシャルロッテがうんうん唸っていると、ナスターシヤがぼそっと言う。

「ちかくへんどう?ですか?」

 こてんとシャルロッテが首を傾げる。そして俺を見るのだが、俺が知るはずがない。

「……地殻変動であってる」

 こくんと確信したようにナスターシヤが言う。

「あのさぁー」

 ふと、そんな中、アリスが情けない声を上げる。

「あ、あたいもー」

 げんなりしたMも覇気がない。

「考えるのも疲れたし、ごはん食べよう!!」

「あたいも考えすぎて、空腹だよ!!」

「お前らは、いつ、そんなに、エネルギーを使うくらい、考えていたんだよ?!」

 こいつら、二人してそうそうに考えることを放棄していたぞ。

 ちなみに、アリスはヴェントに行く際には数年帰らないことを条件に、出入り禁止を解いてもらっていた。

「うう、だってぇ、どの道ヴェントに行くために、今日も迷宮行くじゃん!!腹ごしらえしとかないと!!」

「ケロの字、暫くは迷宮内だろう?」

 考えていないなりには、考えているらしい。

「まあ、ヴェント以降の迷宮に行けないと話しにならないからな。今は、フォレボワの迷宮に集中するか。また、なにか解決へのヒントが見つかるかもしれないし」

 ただし、俺はあの石版をヒントとは認めたくはない。同様にこの攻略本も認めたくない。

 そして酒場に下りた俺は、俺の両親が俺のツケで食べまくったことを知るのだった。


 

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