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闇属性僧侶のあんまり平穏じゃない日常  作者: 水可木
三章 迷宮と一つの謎
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 数度、グリード・マンイーターを倒したところで、キャンプ地の確保を始める。

 今までの場所と違って、モンスターが湧かない広間がないのだ。

 そもそも、樹海の中なので、ボス前のこの広場以外に開けた場所もない。更に、ここはグリード・マンイーターがうようよいて、安らげる場所でもない。

 フォレボワの迷宮はダーク・ドラゴンの洞穴を境に、迷宮そのものが殺しにかかってくる。ただし、マリアさんのトラップに比べれば、児戯に等しいレベルなのが、色々問題だ。

「コレ、使えないかい?」

 Mはがさごそと、道具袋をあさって、トラップを取り出した。お前はマリアさんからトラップを買うのをやめろ。

「良いかも!!このあたりは、壊して困るもんないもん。でしょ?マル美!!」

「そうなんだけど、その代わり、遮蔽しゃへい物もないんで、威力によっては自爆になるかも」

「……塹壕ざんごう

「塹壕作ったうえで、私がシールドを張れば、大丈夫かと。迷宮が消滅する威力でなければ」

 相談しているが、マリアさんの前科が酷すぎて、踏み切れない。

 そもそも、迷宮消失レベルの威力を否定できないって大問題だろう。あの人、いつかギルドに拘束されそうだ。

「よし、俺も全力で補助するから、やれ」

 俺が言えば、Mはトラップを遠くへ放る。

 衝撃にそなえて、俺たちは即興の塹壕に身を潜めた。

 衝撃波に耐えて、顔をあげれば、えげつないクレーターが完成していた。

 今回は良いが、このトラップは規制対象品に指定すべきだろう。

「あいっかわらず、マリアさんのトラップ凄いね」

 のほほんとアリスが言う合間に、俺たちはクレータの中心部へと歩いて行く。

「一時間交代で見張りを立てるが、グリード・マンイーター対策として俺はこのまま起きている」

「はいはいはい!!マルガレーテの王子様!!あたしがお付き合いするので、交代は不要ですよー!!探索スキル的な意味で」

 俺が順次休憩を取るように指示を出せば、マルガレーテがそう言って来た。不安しか抱かせない言い方だが、内容的には結構正しい。

「休まなくて大丈夫なのか?」

「もう、マルガレーテの王子様がソレを言っちゃいます?あたしなら、スキルを使う分、気を張らなくて良いんで、平気なんですよ!!」

 ランランと血走る目には触れないようにしよう。

「あっ、みんな、クロ助は三日くらい徹夜でも平気だから、安心して!!」

「おい!!なんで、お前が言うんだ!!」

「えー、シャル子たちが心配そうだから?」

「あとな、俺が徹夜慣れしたのは、お前のせいだからな?!」

 それもトラウマ付きで。

 あれ、俺、トラウマの原因のほとんどが「もしかしてアリス?」だ。マリアさんと並ぶ俺のトラウマ製造機だったんだな。

「まあ、それは良いとして、俺とマルガレーテで見張るから、お前らは休憩な。休息が終わり次第、ボスを突破。未踏破区画に入って行くから、休めるだけ休め」

「「「「「はーい」」」」」

 返事をすると、それぞれ思い思いにくつろいで行く。

 俺がグリード・マンイーターの相手をしている間に、仲良くなったナスターシヤとMがアリスと一緒になにかしているが、心の平穏のために見なかったことにする。なにかあれば、シャルロッテが止めてくれるだろう。多分。

 クレーターの中心でナスターシヤの教育に不安を抱きながら、見張りを続けた。

 


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