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闇属性僧侶のあんまり平穏じゃない日常  作者: 水可木
三章 迷宮と一つの謎
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 今回は金儲けではなく、未確認のボス撃破なので、雑魚はできるだけスルーする。

 ダーク・ドラゴンの洞穴を抜けると、鬱蒼うっそうとした樹海が広がる。

 木々が邪魔をして、日光が届かないため、薄暗い。ひんやりとした空気と合わさって、肝試しにぴったりな様相を呈している。あのダーク・ドラゴンを撃破した上での肝試しが現実的かどうかは、ともかく。

 この樹海を抜けたところが、未踏破の場所が残る区画になる。何種類かの雑魚は判明しているが、全貌が分からないため、慎重にならざるを得ない。

「涼しくって、良いですね」

 警戒は怠らずにシャルロッテが言う。

「この辺りまで来ると、わたしもクロ助も、あんまり来ないから、楽しいね」

 能天気に言いつつも、先頭を歩くアリスはいつも以上に気を張っている。

「んー。この辺りはあんまり雑魚がいないみたいですねー」

 さりげなく探知スキルを使うマルガレーテが報告してくる。その背後を、いつでも戦闘可能状態のMが歩く。

「マルガレーテ、大きなモンスターの気配があれば、教えろ」

「はいはいはいはい!!マルガレーテの王子様!!」

 俺はナスターシヤと手をつなぎながら、最後尾でそう指示を出した。

「うう、やっぱ、ここに雑魚いないのって」

「喰われたんだろうな」

 俺が答えると、アリスは呻く。

 この近辺に出没する中ボスは動草系のグリード・マンイーターだ。可憐な花と繊細な葉のクセに感知した動物を片っ端から喰らっていく獰猛なモンスターである。この迷宮唯一の状態異常持ちではないモンスターだが、どちらかが死ぬまで喰らいついてくる厄介さで、気にならない。

 尚、ダーク・ドラゴンと違い、耐久はないので、俺のドレインならば、一発で倒せる。

「安心しろ、奥に行くのが目的なんだ。今回は俺が片付ける」

「信じてたよ!!クロ助!!」

 ぱあっと笑うアリスにシャルロッテが不安そうな表情を浮かべる。

「あの、そのモンスターはそんなに……」

「厄介と言えば厄介だな。群生していないのが救いだ」

「マルガレーテの王子様!!左手の方角に何かいます!!」

「マルガレーテ、よくやった!」

 俺はすぐ前にいたMにナスターシヤを預け、単独で左方向に向かう。

 闇属性の奇襲特性を生かして、樹海の影からグリード・マンイーターに突撃すると、気がつかれない間に、〆る。

「倒したぞ」

 素材と名のサンプル集めをするシャルロッテとマルガレーテに声をかける。

「相変わらず、クロ助、鮮やかだね」

「こいつなら、一撃でいけるからな」

「マルガレーテの王子様、これって遠まわしに、あたしに花を贈ってくれたんですよね?もう、さりげないやさしさが大好きです」

「ケロの字、その、ナンだ、そうだったのかい?!」

 素材をあさるマルガレーテがクネクネしながら言うと、同じく素材を漁っていたMが何故か照れる。おい、誰か突っ込みが来い。

「でも、確かに、綺麗な花ですよね」

「お前ら、その硫黄の臭いがする花が良いのか?」

 臭いが苦手なアリスはおとなしく、ナスターシヤと一緒に俺の側にいる。

「マルガレーテの王子様、都合が悪いことはなかったことにするのが乙女心なんです」

「絶対に違うだろ!!」

 一通り素材を集めると、周囲を警戒しつつ、奥へ奥へと向かうのだった。

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