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闇属性僧侶のあんまり平穏じゃない日常  作者: 水可木
三章 迷宮と一つの謎
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 宿屋に戻ったは良いが、俺の広いとはいえない部屋に、六人も集まっている。

 一応、兄貴が見つかるまで、俺の保護下におかれることになったナスターシヤは良い。

 罰として、一晩ほどサイレンスとシャドウ・バインドかけて放置予定のアリスとMは、まあ、オブジェか何かと思えば大丈夫だ。多分。

「マルガレーテの王子様!!夜の奉仕は任せてください!!」

「マルガレーテちゃんが、こっちで寝るそうなので、お邪魔します。ナスターシヤちゃんの視界と耳はちゃんと塞ぎますので安心してください」

「できるか!!」

 フリーダムな風属性二名は、ちゃんと部屋を取るべきだろう。常識が来い。

 俺は、嘆息すると、掛け布団をアリスとMにかける。そして、道具袋を枕にして、俺自身も床に寝転がる。

「お前らはそのベット使って寝ろ」

「マルガレーテの王子様!添い寝が欲しくなったら、すぐに言ってくださいね!!」

「未来永劫欲しくならん!!」

 なんだかんだ、引き際を弁えているマルガレーテは、おとなしくシャルロットとナスターシヤと一緒に横になる。


 翌朝はマルガレーテとナスターシヤにしがみ付かれた状態で目が覚めた。

 お前ら、どんな寝相してんだよ。

 起き上がると、一番にアリスとMのサイレンスとシャドウ・バインドを解除する。寝辛いはずなんだが、爆睡する二人は図太い。

「ふあああ、おはようございます」

 僅差で起きたシャルロッテが、寝ぼけ混じりに言う。髪の毛を解いて寝ていたからか、物凄い惨状になっているのは、あえてスルーするのがマナーだろう。

「今日は、未踏破区画に行くとして、どれぐらい倒せば良いんだ?」

 寝起きに悪いと思ったが、問題児どもが静かなうちに重要なことを話すことにする。

「そうですね。私もマルガレーテちゃんも累計でそこそこいってると思うので、想定より少なくても大丈夫だと思います。クラウディオさんが熟練者だったのは嬉しい誤算でした」

「PT申請なんざ、これが初めてだったからな」

 実はかなり狂喜しているのだが、プライドにかけて表情にも態度にも出さない。

 シャルロッテは再度、大きな欠伸をすると、ふわりと笑う。

「私も六人PTは初めてです。しかも、未踏破区画なんて、楽しみです」

 可憐な容姿でも冒険者、目が好奇心に輝いている。

「このメンバーなら、三日も潜れば、充分認定されるくらいは倒せそうです」

「ヴェントに行くことを考えたら、最短を狙うくらいじゃないとな」

 時間が経てば経つほど、迷宮にかけられた術の痕跡は少なくなっていく。早ければ早いほど良い。

「はい」

 はにかみながらシャルロッテが返事をする。可愛いと思う。たとえ、髪の毛が凄い状態でも。

 朝からほのぼのしていると、ナスターシヤが目を覚ました。

「おはよう」

「……ん」

 こっちは、あまり寝癖が目立たない。わしゃわしゃと頭を撫でてやれば、気持ちよさそうに目を細める。子猫を彷彿とさせ、思わず口元が緩む。

「ああ!!マルガレーテの王子様!!あたしもおはようのチューをしてください!!」

「おい、“も”って何だよ?!“も”って!!」

「おおー、動ける!話せる!!おっはよー!!話せるって素晴らしい!!」

 次々起きてきて騒がしくなる。

 尚、Mが起きたのは、他の全員が迷宮へ行く準備が整った頃だった。

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