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闇属性僧侶のあんまり平穏じゃない日常  作者: 水可木
三章 迷宮と一つの謎
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 鶏小屋じゃない、武具屋に入ると、にこやかなマリアさんが居たが、スルーだ。今回の迷宮探索はこの人のせいで、えらい目にあった。

 トラップ解除も、結局、Mが仲間になった時点で、ただ働きになったわけだし。

 俺は恨めしい目を向けてやる。

 しかし、アリスは鳥頭のため、嬉々としてマリアさんのところへ行く。

「お帰り!じゃあ、次回の探索に備えて、買って買って」

「アリスとM、マリアさん製作のモノは絶対に買うな!!」

「えー」

「別に構わないけど、どうしてだい?」

「お前ら、この人の作ったトラップを忘れたのか?!」

 どうしよう。この火属性どもが、武具屋で着々と死亡フラグを立てやがる。

 一応、お目付け役をマルガレーテに頼んで、俺はシャルロッテと一緒にナスターシヤの装備を探す。

 攻撃力は下がるが、軽いのが特色の弓と、防御力が下がるけれども動きやすくて軽いアーマーを選ぶ。

 ボロクソにののしりたいレベルで迷惑品を量産するマリアさんだが、余計な加工さえしなければ、普通に良いものを作る。そこは腐っても純土属性だ。

「……おそろいがいい」

 俺とシャルロッテが、さっさと決めたところで、ナスターシヤから抗議の声が上がる。ローブの裾どころか、俺の手首までしっかり掴んでいた。

「おそろいって、このローブか?」

「……ん」

 ナスターシヤは頷くが、俺のローブはクレリックの専用装備だ。いくら望んでも、ハンターのナスターシヤは装備できない。

 どうしたものかと、思っていると、視界の端に蜘蛛糸のチュニックが見えた。チュニック系はどの職でも装備可能な変わりに防御力は高くない。布製品なので動きやすさに制限を受けることはないので、アサシンなど速さがモノをいう職業の中には、敢えてコッチを愛用するものもいる。

 俺は蜘蛛糸のチュニックを手に取ると、ナスターシヤの横に並べて大きさを見てみる。

 身長的にナスターシヤが着れば、白いローブのように見えなくもない。腕まくりは必須だが、首周りにボタンがあり、かっちり着るタイプなので襟ぐりの心配もない。

「丁度良いですね。これ、ダークネス・スパイダーの糸ですか?」

「ああ、物理防御に不安はあるが、状態異常耐性もあるし、悪くないんだよな」

「……これがいい」

 ナスターシヤが大きな黒眼でじっと見上げてくる。

 実際問題、遠距離攻撃で前衛になることはないし、闇属性持ちで魔防も素で高いので、防御はこだわらなくとも大丈夫だったりするのだ。

「分かった。こっちだな」

 俺が了承すると、ナスターシヤは嬉しそうな顔をした。当社比なので、パッと見はやっぱり無表情だったりした。

「マルガレーテの王子様!!もう、あたしの手には負えません!!」

「すぐ、行く!!」

 ひと段落したところで、マルガレーテからSOSが入る。あの二人どころか、マリアさんまでいる中、お前は本当に良くやった。

「クロ助、このアーマー欲しい。防御力0だけど!!」

「ケロの字、この改良トラップで、今度こそ!!」

「クロルテトラサイクリン君もどう?」

 切れた俺は絶対に悪くない。

「アリス、M、覚悟は良いな?」

 二人に向けて、容赦なくサイレンスとシャドウ・バインドをかけた。

「モウ、ヤダナー、ジョーダン、ダヨ」

 ぎろりとマリアさんを睨むと、「ハハハハ」と片言で言い逃れしやがった。

 とりあえず、一通り揃えると荷物と化した火属性どもを引きずって、宿屋に帰ることにした。


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