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闇属性僧侶のあんまり平穏じゃない日常  作者: 水可木
三章 迷宮と一つの謎
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 フォレボワの町に着いたのは、すっかり暗くなる頃だった。

 市場が閉まる前に、素材を換金すると、そのままギルドへ向かう。

 本来は武具屋に乗り込んで、苦情を出したいところなのだが、PT登録をさっさと済ませたい。

「そういえば、Mはどうするんだ?」

「ああ、あたいも、一緒に探索すろよ!」

 大丈夫だ。変な道具さえなければ、Mも多分、マシな部類のハズだ。

 ギルドに入り、PT申請書をもらった。

 改めて、受付嬢とMの筋肉を見比べると、Mは女冒険者の範囲だと錯覚できるくらいには厚みが違っていた。

「ええっと、リーダーはどうするんだ?」

「はいはいはい!!わたしがやる!!」

「あたいに任せな!!」

「あたしはマルガレーテの王子様と同じですよー」

「私は誰も構いません」

「……おにいちゃん」

 このPTのリーダーは罰ゲームに近いものがある気がした。せっかく、立候補者がいるので、じゃんけんで決めた結果、アリスがリーダーになった。不安しかない。

「っと、ナスターシヤはどうするか……」

 市場でナスターシヤの兄貴について聞いてみたが、情報を得ることができなかった。ギルドでも迷子探索の依頼を探したが、一切なかった。

 フォレボワには子供を預かる類の施設がないので、連れて行った上で、兄貴の痕跡を探すしかない。

「……ナスターシヤ、狩れる」

 ナスターシヤは俺のローブをくいっとつかんだ後、弓を射る動作をする。思いついた動作ではなく、使ってきたのが分かる、慣れた動作だった。属性的にも、まさかの戦力になるかもしれない。

「じゃあ、ナスターシヤもPT登録……の前に、ギルド登録だな」

「私が記入しちゃいますね」

 俺とシャルロッテの言葉に、ナスターシヤがこくんと頷く。無表情ながら、どこか嬉しそうだ。

 必要事項を記入して、受付嬢に申請書を提出する。

 内容の確認をしていた受付嬢ははたっと、視線をあげて、俺たちを見る。

「おイ、クロ坊、リーダーはお前ガやレ」

 まさかの指名が入った。

 驚いて受付嬢を見れば、嘆息された。解せない。

「あのナ、この中デ、熟練者の認定ガされているのハ、お前だけダ。お前を差し置いテ、他の奴ガ、リーダーにするのハ、理由が必要になル」

 いやいやいや、ちょっと待て。

 何かすごいことをさらっと言われた。

「は?え?熟練者?!」

「おおー、クロ助いつの間に?!」

「あれだけ、全滅の防止ニ成功すれバ、普通に認定されル。一年前くらいだナ」

 衝撃すぎる。

 そうか、普段、PT登録なんてしないから、気付かなかったのか。

 シャルロッテもマルガレーテも驚いて、俺をガン見してくれている。いや、マルガレーテは通常運転な気もする。

「もう、リーダー、俺で良いです」

「そうカ」

 そうして、数分の内に俺は念願のPTに所属することになった。罰ゲーム的みたいな面子のリーダーなどは考えないことにする。

 その後は、迷宮探索に備えて、武具屋へと向かった。


 

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