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闇属性僧侶のあんまり平穏じゃない日常  作者: 水可木
三章 迷宮と一つの謎
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 昼食の後は、イル・ベアー狩りを結構することにした。

 イル・ベアーの掌が薬の材料として高額取引されているのだ。コンフュージョン・ホーネットの蜂蜜とロイヤル・ゼリーが期待できない現在、一番効率が良い。

 決まるや否や、アリスとMは血眼で、イル・ベアーの巣穴を襲撃する。「お前ら、どっちがモンスターなんだよ」状態だ。俺は、心の中でイル・ベアーに合掌した。

「何が凄いかって、アレですよね!!アリスさんとMさんの笑い声の合間から聞こえる、イル・ベアーの断末魔の咆哮に、思わずイル・ベアーの方を助けたくなってしまうトコロですよねー」

 少々遠い目をしたマルガレーテが言う。俺的には近道(物理)は、あいつらと同類だ。

 ナスターシヤは、俺の背中で昼寝中なのが幸いだろう。こんなカオスは子供に見せたくはない。

「この辺りは、ダズル・キャンサーが多くて良いですね」

 よほど美味しかったのか、シャルロッテは冷凍ダズル・キャンサーを量産していた。実は結構フリーダムだ。

 アリスとMは胴体に容赦ない攻撃を仕掛けるので、掌は集めやすいらしく、かなりのペースで素材を集めていった。この分だと、日が高い間にMあたりは目標金額に達しそうだ。

 安堵している時に問題を起すのがトラブル・メーカーである。

 金に困っていない俺たちが、のんびりしている時に、アリスとMはやりやがった。

「クロ助!!ヘルプ!!ヘルプ!!」

「ケロの字!!やっちゃったみたいだ!!」

 調子に乗って、うっかり、ボス部屋の洞穴を襲撃したのだ。ここに来たのが初めてのMは仕方が無いが、アリスはよく来ているので、あとで締めることにする。

「次から次に……」

 ここのボスは飛龍系のダーク・ドラゴンだ。その強さは、生息地の深度を間違えたとしか思えない。

 俺が毎回雇われるのが、こいつを討伐する時の全滅防止だったりするので、お得意様でもある。

 さすがにナスターシヤを連れて行くのは躊躇ためらわれるので、シャルロッテとマルガレーテに預けて、洞穴に入る。

 案の定、少しの間にアリスとMは瀕死に近づいていた。

 とりあえず、ドレインで回復をすれば、今度はダーク・ドラゴンが瀕死になる。さすがに、こいつは俺のドレインでも削りきれない。

「俺の後ろへ回れ!!」

「うん!」

「ありがとよ!」

 瀕死になったダーク・ドラゴンの行動パターンを知っているアリスはMの手を引いて、俺の背後へ回る。

 アリスとMが、ちゃんと俺の後ろに来たところで、ダーク・ドラゴンがブラックネス・ブレスを吐いてくる。純闇属性であり、精神が高い俺には全くダメージが入らない。俺が盾になっているため、アリスもMも無事だ。

 毎回、涼しい風くらいにしか思わないのだが、本来は光属性でもない中堅どころの冒険者が一撃で屍になるような攻撃である。俺を雇った冒険者一行は毎回この攻撃で沈んでくれた。

「ったく、よく見て行動しろっと」

 馬鹿の一つ覚えではあるが、確実なので、ドレインでトドメを刺した。

「おおー。クロ助、カッコイイよ!!」

「よっ、ケロの字!!おっとこだねぇ!!」

「お前ら、迷宮から出たら、覚えてろよ」

 片付いたので、洞穴の前に残してきた三人を呼ぶ。

 フォレボワの迷宮内で、ロイヤル・ゼリーと並ぶ、高額素材のダーク・ドラゴンの龍珠りゅうしゅが手に入ったので、ここで一旦引き上げることにした。

 


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