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闇属性僧侶のあんまり平穏じゃない日常  作者: 水可木
三章 迷宮と一つの謎
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 清々しい朝は、下着一枚で俺にしがみついて寝ていた、アリスとマルガレーテによって、吹っ飛んだ。

 押し出されたのか、避難したのか、俺の隣で寝ていたナスターシヤはシャルロッテの側に移動していた。

「お前らなぁ」

 アリスとマルガレーテの頭を掴むと、ごつんとそれぞれの頭にぶつけてやった。

「うう」

「まるがれーてのおーじさまのあいが、いたいですぅう」

 そう言えば、Mはと見れば、洞穴の中央で大の字になって寝ていた。イビキはまあ仕方ないが、歯軋りまでしていた。こいつが将来、結婚できるのか不安になる光景である。

「おはようございます」

 アリスのうめき声が煩かったのか、いつの間にかシャルロッテが起きていた。ふああと、欠伸あくびする姿が可愛らしい。

 その後は、ナスターシヤが起きて、朝食が終わる頃にMが起きた。何度声をかけても起きなかったMは、あやうくここに放置されるトコロだったのだが、言わぬが仏だろう。

 仕度が終わった後は迷宮を奥に進む予定である。

 ナスターシヤがいるので一度町へ戻る選択肢もあったのだが、金欠が切実なのが二名いるだとか、俺がナスターシヤのカバーが可能だとか、マルガレーテが探索に長けているので、まともにしていれば、危機回避可能だとかを考慮した結果、進むことになった。

 何度か雑魚を蹴散らし、昼前にこの界隈で一番多きな広場についた。

 崖から落ちた滝と沢が涼しい広場だ。相変わらず、モンスターがいなければ、キャンプにもってこいの爽やかさである。

「マルガレーテの王子様、ここ、とっても、良いところですね」

「コンフュージョン・ホーネットの死体の山を見ながら言えるお前が凄ぇよ」

「……水、飲む」

「のどが渇いたんですね。どうぞ、ナスターシヤちゃん」

 沢を凝視するナスターシヤにシャルロッテが苦笑しながら、水をわける。

 沢でクロールをしようとして、砂利を掻き揚げるMについては何も考えてはいけない。あいつのメイル、水着みたいなもんだし、大丈夫だろう。

「うう、わたしも泳ぎたかった」

「あれを泳いでいると形容するお前も相当だぞ」

 嘆息していると、ぼおっとするシャルロッテに気がついた。こんな場所でめずらしい。

「大丈夫か?」

「え?あ、はい」

「ちょっと、シャルロッテ、本当に大丈夫なの?」

 ぼんやりとした返事にマルガレーテも、心配しだす。

「大丈夫ですよ。若い迷宮だなって、思っていたんです」

「ああ、それかぁ」

 シャルロッテの返事にマルガレーテが納得する。

「私の出身のネーベルの迷宮は、もう街に飲み込まれたって感じですから」

「ああ、迷宮内にまで街が広がってるってやつか」

 最初の迷宮であるネーベルの迷宮が発見されたのが五千年も昔である。そんだけ時間があれば、探索どころか、開発もいくとこまでいっているだろう。

「あの、クラウディオさん」

「なんだ?」

「迷宮全体にカース・ガイドってかけることできますか?」

「は?」

 言われた意味が分からず、首を傾げてしまう。

「その、この迷宮全体に、カース・ガイドをかけるんです」

「多分、できると思うが」

 とりあえず、やってみるのが早い。カース・ガイド如きで大事にはならないだろう。

 範囲が範囲なので、集中してスキルを使う。

「え?」

 出てきた結果に俺は、言葉を忘れた。

 ちょっと待て。

 なんで、“転送”系の術がかけられた結果が出てくるんだ。

「どうか、しましたか?もしかして、転送系でしたか?」

「なん……え?どういうコトなんだ?」

「誰がドコから何のために転送しているのかは分かりません」

 そうじゃないが、なんと言って良いのか分からない。

 俺が真っ白になっていると、マルガレーテやナスターシヤどころか、遊んでいたアリスとMも不安そうにこっちにやって来る。

「クロ助、大丈夫?」

「俺は大丈夫だが、大丈夫じゃない」

「うん、ケロの字、大丈夫じゃないな」

 動け俺の頭。真っ白になっている場合ではない。

「おにいちゃん」

 ナスターシヤがローブの裾を握って、不安そうな目を向けてくる。

「シャルロッテ、俺にわかるように説明してくれないか?」

「そうですね。マルガレーテちゃん、頑張りましょう」

「ここで、あたしに振る?!」

 とばっちりだとシャルロッテに文句を言うマルガレーテも何か知っているらしい。

 ひとまず、俺たちは二人の冒険者から話を聞くことにした。


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