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朝食の後は、アリスとMの食料調達と言う名のモンスター狩りをして過ごした。
親衛隊のじいさんたちも青年団やMのじいさんも防寒具がないことには、調査を進めるワケにもいかないので、つかの間の休日を過ごすようだ。
そんな、翌日の夕方のことだ。
「本当につかの間だったな」
ぼそっと呟く俺の前には、昨日の朝、フォレボワに走って行った受付嬢が走って帰ってきていた。
大量の荷物を抱えているのに、早馬よりも早い。人間どころか、生物としても最速の部類だ。
「急いダからナ。ただいマ」
「お帰りなさい。ありがとうございます」
俺が町の入り口まで出迎えると、受付嬢は白い歯を見せて笑った。
「あ、おかえりなさい!!マリアさん装備どうでした?!」
ひょこっと現れたアリスに受付嬢は大きく頷いてみせた。
「大丈夫ダ。時間がないト伝えたラ、この通リ。トラップはフォレボワ・ギルドで厳重ニ封印しテあル」
「余計なことしなきゃ、天才なんですけどね。あのヒト」
アリスが荷物を受け取るのを眺めながら、思わず溜め息をつく。
「そうダ。預かってあル」
受付嬢が手紙を差し出してきたので、差出人を見れば、見たことのない字だ。いや、正確には見たこと事態はある。例のウダール・モールニの字だ。
「シャルロッテかマルガレーテ、ナスターシヤとコレ頼む」
宿屋に向かって言えば、三人が出てくる。正確には、Mとヴェント・ギルドの受付嬢も一緒だ。
「あ、お帰り!!早かったね」
「ああ、急いダからナ」
とりあえず、マリアさん製装備なので、開封は郊外に出て行わないと、町が危ない。
今回はアリスとMもいるので、受付嬢たちとは入り口で分かれて、俺、アリス、Mが郊外に向かう。マルガレーテ、シャルロッテ、ナスターシヤは手紙の解読だ。
「マルガレーテの王子様、あたしに任せてください!!あと、本当に気をつけてください!!アリスさんにMさんも!!」
「ああ、そっちは頼む」
「じゃあ、また後でね!!わたしこの開封が終わったら、クロ助のスコーンを食べるんだ!!」
「あたいも!!」
「お前ら、それ、死亡フラグだからな!!」
マリアさん装備の場合、洒落にならない。とりあえず、蘇生の準備はしておこう。
六人分の防寒具ということで、結構な重量があり、<力>初期値の俺が運べるハズがないので、Mかアリスに運んでもらおうと、視線を移すと、アリスが抱えて走って行っていた。
「やっほー!!マリアさん装備だ!!」
「あたいも楽しみだよ!!」
ついでにMも走って行っていた。
「…………」
人選ミスった感が半端ない。
「クラウディオさん、イキロ、です!!」
シャルロッテの励ましに、なんとか我に返った俺は慌ててアリスとMを追った。
ちなみに、防寒具は普通に清涼感があるモノだった。間違ってもトラップ同然の機能は搭載されていなかった。一方で、フォレボワに封印されたトラップについては、施されたモロモロが恐ろしすぎて、考えないことにした。




