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Mのじいさんを引き連れて、テーブルに向かえば、親衛隊のじいさんたちが、キビキビ皿を並べていた。
今日はビュッフェ形式かとスルーできるくらいには、このじいさんたちの行動に慣れていた。祖母がからんだときの機敏さは、いっそすがすがしい。
「……って、お前らまで手伝ってるんだ?」
「くっ、これには深いワケがある!!」
チュニック覆面のまま青年団が、手伝っている。
思わず観察していると、ヴェントのちびっ子たちも来ているので、その手本となっているようだ。肌色の書物管理だけでなく、ちゃんとした青年団の活動もしているようで、安心する。
「……ロリコン危険」
ナスターシヤにローブを引っ張られたので指差すほうを見れば、覆面越しにも分かるくらいに鼻息が荒いヤツ一名が幼女の側に迫っていた。マジで危ない。
「マルガレーテ」
「任せてください!!」
「私があの変態にトドメを刺せば良いのですね。わかります」
「ちょっと待て、シャルロッテ!!それ、分かってないからな?!」
「幼女に興奮するとは、修行が足りぬのぉ」
「じいさんだけには、言われたくないとあたいは思う!!」
のほほんとMのじいさんもマルガレーテと一緒に幼女救出に向かう。
「で、アリス、つまみ食いするんなら、食事が終わるまで床に転がしておいてもいいんだが?!」
俺たちの注意が青年団のロリコンに向いている間に、つまみ食いをしようとしていたアリスに気がついた俺は、注意する。油断もスキもあったもんじゃない。
「ええ!!わたし、もうおなかすいた!!」
「子供たちまで待ってるんだぞ?!少しは待てよ?!」
「コルンバーノ、いいじゃないか。アリスちゃんは孫も同然、さあ、召し上がれ」
そんな俺の横から、祖母がアリスを甘やかす。駄目だ。孫を甘やかすジジババに勝てるワケがない。
「やった!!エッちゃんも食べてよう!!」
「あたいは……」
「じいさんなら見張っているから、先に食べてろ」
食べたいと顔に描いてありながら、じいさんの動向を気にしてためらっていたMに声をかける。
「ありがとう!!それじゃあ、じいさんのことは任せるよ!!」
Mは嬉しそうに返事をして、アリスと一緒に皿にアレコレとり始める。
「シャルロッテ、あいつらを野放しにしていると、確実にホカ全員が食いっ逸れる。ヴェントの子供たちとナスターシヤに取り分けてやってくれないか?」
「そうですね!!みなさん、ナスターシヤちゃん。先によばれましょう」
大食い二名を見て、シャルロッテは納得すると、子供たちを呼び集める。当然、マルガレーテとMのじいさんによって救われた幼女も一緒だ。
「くそ、純真たるロリとの交流の邪魔をするとは?!」
「これ!!ワシら紳士たるもの、ロリは遠きに眺めて愛でるものじゃろう!!」
「うっ!!」
「修行が足りぬから、D以下のまな板にくらむんじゃ」
Mのじいさんがとんでもないこと抜かし出した気がする。
「マルガレーテの王子様、やっちゃていいですかー?」
「駄目に決まってるだろう?!」
「いんや、そいつらまとめてやってくれ」
俺が止めている真横から、親衛隊のじいさんがゴーサインを出しやがる。
「Mのじいさんと、ロリコンは当然なんでアレですけど、他二名はとばっちりですよね?!」
「まあまあ、朝がにぎやかなのは、楽しいねぇ」
のんびりと、楽しそうな祖母の声に頭痛がした気がした。




