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サウナ上がりに、シャルロッテが作ったプラムのジェラートを食べ終わった俺たちは、テーブルについたままアノ名状しがたい着ぐるみについて話していた。
とは言え、主に俺が被った害を一方的に述べるだけになっている。
「まあ、マリアさんの通常運転っていやそうなんだが、俺の耐性をアテにして、とんでもない威力になっていた」
「もう、あたし凄く心配したんですよ!!」
「あんなに可愛いのに残念ですね」
だから、お前の視力はどうなっているんだというのは置いておいて、だ。
「問題は、俺が依頼した場合、例の防寒具に漏れなく兵器レベルのオマケがついてきそうってことだ」
「マリアさんなら、言わなくても、きっとトビッキリの機能を搭載してくれるよね!!」
俺の発言にアリスが嬉しそうに付け足す。嬉しがる要素がどこにあるんだと思うが、マリアさん装備の愛用者なのを思い出し、納得することにした。
「そこで、だ。ギルド経由でそういう機能の装備をフォレボワで送って貰うか、この中の俺とアリス以外の名義でマリアさんに発注するか、考える必要がある」
なお、前者を選べば数を確保できるか不安があり、後者はランダムで状態異常が高確率で付随し、場合によっては使い物にならないこともある、などとどちらにしても賭けに近いモノがある。なんで、装備発注が賭けみたくなるんだろう。
「確実性が高いのは、ギルド経由だと思いますよー」
クレーターを思い出したのか、少々青ざめた顔でマルガレーテが言う。
「ネーベルに発注とも思いましたが、あの武具店の技術力を再現するのは難しいですね」
シャルロッテが嘆息しながら言った。本当になんであのヒト無駄に技術力高いんだろう。
「そうだ!!同時にトラップ発注かけたら、いいじゃん!!オマケ機能のエグイのは多分、クロ助のトラップの方に集中するから、防寒具の方は致命的な機能はつかないと思うよ!!」
ここにきて、アリスが名案を思いつく。こいつ、無駄にマリアさんの店に通ってなかった。
「それは、アリだな。フォレボワ・ギルドの受付嬢に事前に話を通していれば、トラップも回収してもらえるだろうし」
「……ワザトらしいから、おねえちゃんと連名」
俺が呟いていると、側によってきたナスターシヤにローブを引っ張られる。思わずナスターシヤの方を見れば、Mをガン見していた。
「そうだよ!!散々文句言ってたクロ助が発注しても、俺俺詐欺みたいじゃん!!」
「全然違うだろ?!」
「そうですね、フォレボワで大量にトラップを購入していたMさんが追加を頼む方が自然でしょうし、婚姻関係にあるので、ここぞとばかりにクラウディオさんが夫であることを強調すればいいと思います」
シャルロッテにまで言われては、その方向でいくしかない。
「分かった、それでいこう」
「はいはい、あたしとシャルロッテが防寒具の発注します!!」
「いいなぁ!!クロ助、わたしも発注したい」
「分かった。そして、アリスは却下だ!!」
話し合いのあと、夜があけてから、再度マリアさんに装備を発注するため、全員でギルドへ向かった。




