表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇属性僧侶のあんまり平穏じゃない日常  作者: 水可木
八章 迷宮と新手の試練
116/130

116

 キッチンに向かえば、アリスとMが満足する量を作ると宣言したとおり、おびただしい数のアップルパイがテーブルどころか、そこらじゅうを占拠していた。

 どこからか集まってきたヴェントの子供たちが、目を輝かせながらアップルパイを食いつく姿は微笑ましい。

「マルガレーテの王子様!!子供って素敵ですよね!!」

「クラウディオさんも子供っていいと思いませんか?」

 俺の左右に張り付いて、催促してくる二名がいなければ、和めた。

「だから、そういうことはだな」

「コルンバーノの子供ということは、ひ孫だねぇ」

 俺の発言をぶった切って、祖母がのたまう。それも、物凄く嬉しそうに、だ。未だに親衛隊とヴェント・ギルドの受付嬢が居座っているため、非常にめんどくさい事態と化す。

「任せてください!!あたしが、元気な子をお見せしますから!!」

「マル美とシャル子の娘なら、お父さんもお母さんも満足してくれるね!!」

 アップルパイを頬張った状態で、起用に明瞭な発音でそういったアリスだが、お前は本当にそれでいいのかと聞きたくなる発言だ。

「ともかく、今はアップルパイを食わせろ!!」

 これ以上会話を続けるとロクなことにならないのは確実なので、俺も子供たちやアリス、Mに混じってアップルパイを食べ始める。

「そうですね。私たちも食べましょう」

 俺の様子を見たシャルロッテがそういったので、一旦この話題は終わる。

 ただし、こいつらの爆弾発言はこれに限ったことではない。

「そいえば、式場の確保できました!!予約票が届いたので、クラウディオさん、あとで日付の確認をしておいてくださいね」

 静かに咀嚼していた俺は、噴出しそうになるも耐えて、盛大にむせた。

「式場っておい?!」

「ドレスのレンタルも無事申し込みできました。ナスターシヤちゃんは成長も考慮して、いくつかサイズを選らんだので、結構お高くつきました」

「クロ助、結婚式のドレスって高いんだね!!言うの忘れてたけど、わたしのお金じゃ無理だから、クロ助につけてもらったんだった!!」

「おい!!」

「マルガレーテの王子様、アリスさん以外はみんな自腹なので安心してください」

「いや、全額負担はやめろ。半分は出すって言うか、それ以前にナニやってんだよ?!」

 どっからつっこんでいいのか分からない。

「クラウディオさん、花嫁さんというのは全女の子の憧れなんです」

「分かるよ、シャル子。カタログのドレス、綺麗だったもんね」

「このために貯蓄をしてきたと言っても過言ではないので、気にしないでください」

 シャルロッテがきっぱり言い切る。

 マルガレーテもMもナスターシヤも同意とばかり頷くが、アリスは「そうなんだ」と感心している。アリスは少し気にするべきだろう。

「まあ、結婚式だなんて素敵だねぇ。ヴェントだとそういう概念がないからねぇ」

 俺たちの様子を見て、祖母が呟く。

「「「「「申し訳ないが、カタログを貸してくれんかの?!」」」」

 ソレを見た親衛隊のじいさんたちが、素早く反応した。気持ち悪いハモリ具合に、俺は地味に噴出しかけ、やっぱり耐えて、ひっそりむせた。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ