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とりあえず、居住空間に戻ってきたわけだが。
「おい」
俺たちの目の前には大量のロースト肉(冷凍済み)が詰まれていた。考えるまでもなく、シャルロッテだ。
なんでこんなになるまで放っておいたんだ。
「みなさん、どうかされましたか?」
きょとんとしたシャルロッテが首を傾げる。普通に可愛いが、流されたら駄目だ。
「シャル子ぉお!!凄い!!お肉いっぱいだね!!」
「やっぱり、シンプルが一番だね!!」
我に返った、アリスとMの大食い二名が歓喜の声を上げながら、シャルロッテに飛びつく。あ、これ、悪化の流れだ。恐怖のロースト肉地獄開幕のお知らせだ。
「……お前の嫁だろ……早くなんとかしろよ?」
のそっと現れたナスターシヤが、そんなシャルロッテたちを見ながら、俺の真横で呟く。疑問系なのは定型文をそのまま口にしたからだろう。
「嫁って、書類上、そうなったってか、お前らが勝手に提出しただけって言うか、どうにかできるレベルじゃないだろう」
「……医者が黙って首を振るレベル」
「そうそうって、おい」
ナスターシヤの的確な一言にどうしてくれようと、周囲を見れば、プリちゃんが首を左右に振ってくれやがった。今、そういうのいらない。
「マルガレーテの王子様、大丈夫です。まだ、少ないほうですから!!」
げっそり気味の俺を見かねて、マルガレーテのフォローが入るが、アイディアロールに成功した俺は、普通に正気度を削ってしまう。
「シャルロッテに台所と食材を与えると、これ以上の惨事が通常運転なのか」
「マルガレーテの王子様、人間って慣れる生き物なんですよ」
遠い目でマルガレーテが言う。だがしかし、こいつも、ドブネズミ食ったりと、精神的に結構なダメージを与えてくれる。
「なにはともあれ、食事の用意もしてますから、食べませんか?」
「やったー!!わたし、おなかペコペコだよ!!」
「あたいも、早くなにか食べたいよ!!ロースト肉もあるんだろう?」
大食いたちは呑気にのたまう。
「……ナスターシヤ、もう、肉、見たくない」
「同感だな」
「あたしはマーモットならいけますよー」
俺たちが引きつった顔でこそこそやっていると、シャルロッテが近寄ってくる。
「安心してください。ニョッキがあります」
フォローどころか、寧ろトドメを刺してきやがった。
「やっぱ、ロースト肉も良いかもな」
「……ナスターシヤも」
「シャルロッテ、あたしも肉が良いなー!!」
とりあえず、話し合いは食後にすることにして、俺たちも食事を始めた。




