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闇属性僧侶のあんまり平穏じゃない日常  作者: 水可木
八章 迷宮と新手の試練
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 考えたところで、ヒヨコに起きる気配はない。

 仕方がないので、ヒヨコが目視で確認できる範囲を探索することにした。

「おおー!!凄いよ!!クロ助、ここ、すべる!!」

「戻ってこい!!」

 俺とマルガレーテが慎重に進む中、火属性、特にアリスが考えなしに突っ込む。まあ、大抵の事態なら、耐久火力ともに高いアリスなら、問題ないのだが。

「それにしても」

 アリスとMの背中とヒヨコを確認しながら、マルガレーテに話しかける。

「マルガレーテの王子様、ここ、すっごく寒いですね!!」

 話しかけられたことに気がついたマルガレーテが、そういいながら抱きつく。正確には、絡みつくと表現したほうがいいかもしれない。

「おい」

 しかし、やたら寒いのは事実なので引き剥がすことはしない。そもそも、身動きも厳しいので、最初から無理だったりするけれども。

「そうかい?あたいは、涼しいくらいだよ!!」

 ムキムキの筋肉で、全くエロくなくビキニアーマーを着こなせるMが、自慢の腹筋に力を入れながら、報告してくる。とりあえず、見ている俺が寒いので、Mにマントを渡す。尚、このマントはアリスが飼ってきたガラクタで、防御力にマイナス補正がかかるゴミ装備品だ。

「あ、こっちもつるつるしてる!!」

 そうこう、アリスから目を離していると、勝手に進んでいる。

 とりあえず、マルガレーテとMに待機してもらって、アリスの首根っこを引っ掴む。

「だから、進むなっつってんだろ!!」

「うう、だって、つるつる楽しいんだもん!!」

「だもん、じゃねぇよ!!」

 ぐいぐい引っ張って、戻ろうとした俺は、ふと、足を止める。

「って、これ、地面が凍ってるんじゃないか!!」

「あ、じゃあ、とうっ!!」

 俺の声を聞いたアリスが、剣を天井にぶん投げる。

 キーンと高い音がして、剣と鍾乳石と氷柱が降り注ぐ。勿論、アリスはまっすぐ真上に投げやがったので、俺とアリスの頭上にだ。

「っあぶねぇよ!!」

「おおークロ助の回避凄い!!」

「当たったら、普通に即死だからな!!」

 物理攻撃に対する俺の耐久は半紙以下だ。

 剣の回収を忘れずに戻ると、マルガレーテが絡みつくというか、絞め殺す勢いでまとわりついてくる。

「マルガレーテの王子様、とりあえず、ナスターシヤちゃんに氷室の有無を聞かなきゃですね!!」

「距離は測れそうにないか」

「移動速度が目視で測れませんでしたから、ちょっと厳しいです。方角もスキルが使えなかったので、分かりませんし」

 ここが、こんなに寒い理由に検討をつけている俺とマルガレーテの会話に脳筋どもが首を傾げる。

「クロ助、なにか分かったの?!」

「そうなのかい?!」

 吃驚といったアリスとMに溜め息が出るのは仕方がないだろう。

「あのな、こんなに寒いってことは、北に進み過ぎたか、氷室が迷宮に取り込まれたかってことだろ」

「もともとヴェントの迷宮自体が、街道沿いに出現しているみたいなので、どちらの可能性もあるんですよー。数日の距離なら、宿屋もあったでしょうし」

 マルガレーテが補足してくれる。そして、その言葉に、居住空間を思い出す。

 よく考えれば、あの居住空間は地下街道の宿屋的なものを取り込んだ結果なのかもしれない。

「宿屋ってことは人が住んでたんだろうね!!」

 仮にも、宿屋の娘が感心したように言う。

「そりゃあ、そうだろうって……」

「マルガレーテの王子様、考えないほうがいいです」

「そうだ、ケロの字!!宿屋が取り込まれている場合、ナスターシヤ以外に人がいる可能性があるだとか、考えないほうがいい!!」

 Mががっつり言ってくれる。

 これ、結構切実な感じだ。ナスターシヤの居住空間を見る限りは、ある程度は大丈夫そうだが。

「ヒヨコ起きたら、即効で町に戻るぞ」

 肝心のヒヨコが起きたのは、半日後だったりした。



 

 


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