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闇属性僧侶のあんまり平穏じゃない日常  作者: 水可木
八章 迷宮と新手の試練
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 準備を整えた俺たちは、探索という名目の食料調達を開始した。

 居住空間では、プリちゃん人形がナイトキャップをかぶって、お休みスタイルだったりもしたのだが、あえてスルーする。お前トラップだろとかイロイロ突込みが追いつかないのだ。

 シャルロッテにナスターシヤを居住スペースに残すと、残りの四人で徹夜で更なる奥を目指す。

「わぁ、食べ放題だね!!」

 キラキラとした目で言うアリスの視線の先には、牛系と思われる未登録モンスターが群れていた。丸々と肥えた姿が、結構おいしそうだ。

 アリスとMがウキウキしているが、一つ不安がある。

「この先に大型のモンスターがいます!!」

 受付嬢に貰ったマップとモンスターリストを見比べている俺にマルガレーテが報告してくる。

「アリス、M、下が……」

 言い切る前に、物凄い速さで何かが迫ってきた。

「あ、クロ助、大きなひよこだ!!大きくなったら、焼き鳥の食べ放題だね!!」

 何かはひよこだった。但し、Mの倍は余裕である規格外サイズの。

 俺たちのいる場所には侵入できないらしく、スッポリ壁にはまってくれた。邪魔だ。

 巨大ヒヨコはすぽっとはまったまま、ピヨピヨ鳴く。鳴き声だけは、普通のヒヨコなあたり、倒し難い。

「ケロの字、このままじゃ、焼き鳥になる前に死んでしまうよ!!」

「せめて、若鶏くらいにならないと嫌だよ!!」

 お前ら、わりとさっきまで大食いやってやがっただろ。つか、食うの決定なのかとの言葉を飲み込んで、ヒヨコを観察する。

 ナニを考えているのかさっぱり分からない、つぶらな瞳でこっちを見ている。これを目の前に、食べようとするアリスとMの精神が怖い。

「ヒヨコってニョッキ食べますかね?」

 俺が引いていると、背後でマルガレーテがぼそっとのたまう。

「大丈夫そうだが、これも多分モンスターだよな?」

「こんな家畜や野生動物はいないと思います」

 マルガレーテは少し考えて、モンスターと判断する。

 どうしたものかと、ヒヨコを見ていると、いきなり暴れ出した。

 ばったばったと巨体が動いても、落盤する気配のない迷宮内はさすがだ。

「って、プリちゃん人形?!」

 万が一を考えて周囲を見回していた俺は、ナイトキャップを被ったまま、疾走してくる藁人形を目撃してしまった。シュールなことこの上ない。

 プリちゃん人形は巨大ヒヨコに近づくと、わったわったと動く。

 これで巨大ヒヨコと意思疎通しているらしく、プリちゃんが一通り動くと、おとなしくなる。

 ヒヨコが落ち着くと、今度は俺たちに何かを訴えてくるのだが、意味不明だ。

「クロ助、プリちゃんがヒヨコ押してくれって!!」

「よく分かったな」

 何故かアリスには通じたようで、アリスの発言にプリちゃんが頷く。

「あたいに任せな!!」

 Mは言うや否や、「はぁあああああ」っとドスのきいた掛け声とともに、ヒヨコにタックルをかます。あれ、普通にヒヨコの内臓終了のお知らせだ。

 しかし、ヒヨコは耐久が可笑しいことになっているのか、ぽよんと向こう側にすっぽ抜けると、平気そうに動いていた。何気に光属性持ちのようだ。

 自由になったヒヨコは、ぽてぽて首を動かすと、プリちゃんを見つけて、てててと歩み寄る。

「凄い!!クロ助、プリちゃん、ヒヨコが湧いて出るところ見たんだって!!」

 アリスが興奮気味に言ってくる。

 完全にプリちゃん人形が元凶だ。つか、この迷宮の異変の原因は「もしかしてプリちゃん」が過言じゃない気がする。

「とりあえず、牛の始末するぞ」

 このままだと、新たな問題が出てきそうなので、片付けられるところから片付けることにした。

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