表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇属性僧侶のあんまり平穏じゃない日常  作者: 水可木
八章 迷宮と新手の試練
102/130

102

 俺たちの目の前に、大量の骨が転がっている。

 町のほぼ中央の開けた場所で、大食い大会は開催されていた。

「すっげぇ!!」

 目をキラキラさせながら、子供たちが見ているのは、ありえない早さで大量の肉を食っているアリスとMだった。

 その食いっぷりたるや、呼びに来たものの引き返したくなるほどだ。

 こいつら無視して迷宮探索もいいんじゃないかと思ったところで、アリスが俺に気がつく。

「ふろふへ!!ひは、しょふひふう!!」

 クロ助、今、食事中とかそんなところだろう。食いながら喋らないで欲しい。

「マルガレーテの王子様、アリスさんの何が凄いって、喋りながらも、食べるペースが衰えないところですよね!!」

「あれは、ある意味特技なんじゃないでしょうか」

 マルガレーテの感嘆に、シャルロッテが感心したように続く。

「やー、あのねえちゃんたち、やっぱ凄いなぁ。やっぱ、赤毛のねえちゃんに賭けて良かった」

「くっそぉ、あっちの大男に賭けてたのに話になってないじゃないか!!」

 そして、案の定、賭けごとをしている奴らもちらほら。

 これ、下手に呼び出せない流れだ。

「……ナスターシヤ、あっちに賭ける」

「お、嬢ちゃんはあっちの金髪のねえちゃんに賭けるのか」

 どうしたものかと考えていると、いつの間にか、ナスターシヤが賭博に参加していた。これ、完全にアリスの悪影響だ。

「ナスターシヤ、賭け事は大人になってからな!!」

 慌てて引き戻そうとすると、賭け事をしていたおっさんたちに止められる。

「まあまあ、祭りの時ぐらいいいじゃないか」

「そうそう、おれらも、こんなお嬢ちゃんから巻き上げたりせんさ」

「……引き際は分かる。心配いらない」

 じぃいっと俺を見上げながらナスターシヤが言う。無論、無表情で。

 確かにナスターシヤならば、アリスのようにはなるまい。寧ろ、金を巻き上げる側だ。

「そうですね。では、私がナスターシヤちゃんと一緒にアリスさんに賭けましょう」

 俺とナスターシヤの様子を見ていたシャルロッテが、申し出てくる。

「そうだな、シャルロッテと一緒なら良いか」

 どうせ、決着がつくまでは、アリスとMを呼べそうにないのだ。暇つぶし程度ならば、問題はないだろう。

「それじゃあ、マルガレーテの王子様はあたしと一緒に賭けましょう!!」

「お、大きい嬢ちゃんも参加か」

 見れば、シャルロッテもマルガレーテも、そして、無表情ながらナスターシヤまで楽しそうにしている。これは参加するしかない。

「ただ、俺たちは子供も混じっているので、金銭は控えたいんですが」

「おお、そうだな」

 俺が申し訳なさそうに言えば、おじさんたちも、確かにと同意してくれる。常識のある人たちで良かった。

「なら、あたしたちは冷凍パテを賭けます!!」

 シャルロッテの道具袋をガン見しながらマルガレーテが言う。お前、負けるほうに賭ける気だろう。俺も、その発言の後、負けそうなのを選ぼうと考えてしまったが。

「マルガレーテちゃんってば、勝手に決めてしまってと言いたいところですが、そうですね。丁度良いですね」

「おう、じゃあ、嬢ちゃんたちが勝ったら、一食分のメシをおごってやろう」

 そのくらいのレートならばと、了承すると、俺とマルガレーテはかなり真剣に負けそうなのを選んだのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ