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亡国の調

作者: 双海みりん
掲載日:2013/10/21

 


 

 むかしむかしの そのむかし

 ひがしのはしの ちいさなくにに

 うたのすてきな 少女がおりました


 少女はいつも うたっていました


 そのこえは そのうたは

 はるのひざしのようにあたたかく

 あきのそらのようにすんでいました


 おうこくじゅうのひとが

 少女のうたを すいていました


 いぬも ねこも

 おとこも おんなも

 わかいのも としよりも

 おうさまも おうひさまも


 みんなみんな まいにちまいにち

 少女のうたを たのしみにしていました


 少女のうたごえは となりのくににも とどきました

 そのとなりにも となりにも となりにも

 ついには ごうよくなくにのおうさまのみみにも とどきました


 ごうよくなおうさまは

 少女のうたを ひとりじめしたくなりました


 そこで

 ひがしのはしのおうさまに ししゃをやり


『少女を寄こせ』


 といいました


 ひがしのおうさまは こまりました


 ごうよくなおうさまに さからえば

 ひがしのはしの ちいさなくには

 かんたんに 亡ぼされてしまうでしょう


 かといって

 少女を わたしたくはありません


 おうさまは なやみました


 なやんで なやんで


 あるひ 少女をおしろによんで

 いいました


『強欲な王様のために、歌を歌いに行ってくれないか』


 少女はくびを よこにふりました


 というのも

 少女には からだのよわいおとうとが いたからです


 少女は びょうきでいえをでられない おとうとのために

 まいにち うたを うたっていたのです


 だから

 くにを はなれるわけには いかなかったのです


 おうさまは あせりました


 けれども

 どれほどおかねをつんでも 少女はうなづきません


 ひがしのはしのおうさまは しかたなく

 ありのままのじじょうを

 ごうよくなおうさまに つたえました


 ごうよくなおうさまは たいそうおこり

 だいじんをよんで いいました


『東の端の国を亡ぼせ』




 それから すうじつご

 ひがしのはしの ちいさなくには

 ごうよくなくにのぐんたいに せめこまれました


 ていこうらしいていこうも できないまま

 ひがしのはしの ちいさなくには

 ほのおに つつまれました


 くにのひとは にげまどい

 ごうよくなくにのへいしに みつかっては

 みなごろしに されました


 ほのおは とどまるところを しらず

 くにじゅうに ひろがります


 おしろが もえおち

 ひとびとが ほとんどいきたえたとき


 へいしのみみに

 うたが

 きこえました


 そのこえは

 はるのひざしのようにあたたかく

 あきのそらのようにすんでいて

 そのうたは

 なつのあらしのようにちからづよく

 ふゆのはなのようにかなしく


 しずかな


 少女の うた でした




 ひがしのはしの ちいさなくにが すべてもえつきたあと

 ごうよくなくにのへいしが めにしたのは

 ほのおのなかで おとうとをだきしめてしんだ 少女のなきがらでした





 それから なんねんかして


 ごうよくなくには

 あらしと じしんと

 かじと ききんと

 はやりやまいが どうじにおこり

 はんとしもしないうちに

 亡びました


 ごうよくなくにから なんとかにげのびた旅人が いうには


 ごうよくなくにが 亡びるまえに


 どこからともなく


 少女の あのときのうたが


 ひびいていたそうです

 





 それから数百年、数千年が経って、少女の歌は古い言い伝えとなった。

 少女の哀しく静かな歌が聞こえたら、なるべく遠くへ逃げること。

 それは、その国が亡びる前兆――『亡国の調しらべ』だから、と。



 しかし、今それを知っている者は、少ない。







 ***

  

続き物の予定だったけど、なんか終わる気がしないので、短編で投稿しました←

まぁ、これは童話としても通るから、いいかな的な←←

良ければ感想お願いします><


2013.10 双海みりん

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