花瓶
もう、この文章量でやってきますね?
……誰も見ていないでしょうけど、ねw……はは…
「ああ、遂に半分を切ったねぇ……。」
ミナミの友人、ナオミは、自分の机に突っ伏しながら、呟くように言った。それを聞いて、入口で立ち止まったままのミナミは静かに教室に入る。同時に、クラスを見渡したミナミは、暗い表情をさらに暗くして、俯きながら窓際の自席に着いた。その理由は、クラスの半分以上が空席で、中には花瓶まで置かれているものもあるからだ。
そしてナオミは、今日のミナミの様子は一段と暗く、元気がないことに気づいた。それと、隣にいるべきとある男子が居ないことも。ナオミはそれだけで理解した。
「……ごめん……。」
「……別に気にしてないからいいよ?」
「…………」
「…………」
ナオミが呟き気味に謝ると、聞こえていたのか、ミナミは無理やり作られた笑顔を見せる。だが、ナオミはそれを気にする程の気力がないのか、戦争中であり、クラスメイトが死んでいってるという事実にストレスを感じているのか定かではないが……いや、たぶん両方であろうが、机に突っ伏したまま何も言葉を返さずに、机の上の花瓶をただただ見つめ続けていた。そう、どちらも辛いままなのである。
ミナミはそのまま、前の黒板を見る。左斜め上が欠け、少々ヒビが入っている。その黒板の隣の壁は、床も一部含まれるくらいの大きな穴が出来ていた。そして、その上から木の板で修復されている。実はここも狙われ、一度戦場と化したことがあるのだ。故にその傷跡が当時の恐怖を思い出されてしまうのだった。しかし、ミナミはそんな恐怖を気にしてはいなかった。何故か? それは、
(……タクト……)
想い。彼への想い。無事でいて欲しい。生きて、帰ってきて……!
その想い、心配がミナミの恐怖へと変わり、胸を締め付けていたのであった。そのため、ほかのことを気にする余裕が無かったのだ。故に気にする暇がなかったのである。
心配している間に時間が来てしまったらしく、チャイムがなる。どこか音が外れているそれは、虚しく、静かなこの学校に響いた。朝日が眩しく、とてもいい天気なのに、ここだけは光が差し込んできていないのかと思ってしまうほど、暗い雰囲気である。
ふっと窓から見えた街も、同じく、静かであった……。
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