表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/17

先輩はどこにいった?

*


「ふう……」


と息を吐いたわけですボクは。


アンニュイな感じが大人…って雰囲気を醸し出してる気ではいるんだけど、同級生の友達にそれを言ったら軽く流されて悲しかったですよ。


はい、そんな感じで初の「ボク」視点。舞台はトイレから始まりますです!



……とはいったものの。


「あのー水無月センパーイ?何処ですかー?」



早速プレジデント、あ、いやアクシデント勃発です。

待っていてくれると思ったんですが音楽室には誰もいません。

そこにはぽつーんと懐中電灯が一つ。

んーどうすればいいんでしょうか?

ナガル先輩は何処に行ったのかわからないし…、水無月先輩も行方不明…。



ん!?これは……もしや……。



「まさか……七不思議の呪い…!?」


七不思議を全て知ると災いが降りかかるというのはよくある話!



これは……大スクープ……!?







――なんては思いません。


「ケータイ……は番号わかんないですしね…。警察?あ、でも先に職員室?」


わたわたとボクは暗い廊下を歩きだしました。


あるのは七割の心配と二割の恐怖。

そして一割の好奇心(スクープ魂)。




ボクは鼻歌(カウボーイビ○ップのテーマ)を歌いながら、職員室に向かって歩いて行きます。



「流石に怖いですね夜の学校は…」



廊下をただ歩いているだけでも恐怖のほどはなかなかのものです。

言うなれば奇跡的な個体値のポケットに入るモンスターをようやく手に入れて、ポケ○ンセンターで回復してからセーブしようと思ったら、不用意な振動で画面がフリーズしたあの時。


やっと討伐できた!と思った瞬間に、不意に死角から草食獣の突進を食らって死んだあの時。

涙を垂れ流したギャルゲーのデータが完膚無きまでに真っさらになっていたあの時。


あの瞬間に背筋に走る感覚。まさにそれです。たぶん。

……泣いてないですよ?悪魔でこれは心の汗DEATHから。。。




そんな事を考えながら一人で歩く途上。何だか廊下に物音がします。



(これは……声?誰か居るのでしょうか?)



くぐもった響きのした部屋の方を見るとそこには、


“生徒会室”


ボクは、「はぁ…」と嘆息してその部屋を仰視します。



(こんな時間まで何をしているんでしょう?)



普通に考えれば仕事です。でも相手はあの生徒会!

どんな残響死滅(エコーオブデス)…じゃなくて残虐非道な行いをしていることか!



「部費に備品のカメラまで回収されてしまいましたし……血も涙も無い連中です!」



そんな恨み節を呟いた瞬間。突然でした。



「……なやり方を続ければ生徒会は信用を完全に失ってしまいますよ!」


「ひっ!?」


驚いた時に少し声を出してしまって、慌てて口を押さえます。

気づかれていないかそっと周りを伺うと、……大丈夫なようです。

どうやら“その”生徒会が言い争いをなさっているようでした。



(あの声は……副会長?)


怒号は間違いなく男性のものでした。

それはまだ続いてきます。



「あの決算書を理事会に提出すれば全て済む話じゃないんですか?」


痴話喧嘩…な、はずもないのは流石にわかります。



「こんなのいつもの会長らしくもない」


「お前は俺の何を知っている?お前は俺の指示通りにしていればいい」


「……でもっ!」



副会長の顔は見えませんが声はかなり(はらわた)捻切(ねじき)るような痛々しい響きを、その時、私は、感じました。



「僕には会長がわざとその犯人を庇おうとしているようにしか思えません!一体…何が会長をっ!」


「……黙って私に従えないならここから出ていけ。使えない“手駒(ピース)”に用はない」


「くっ!!」



副会長は判断を迷ったのでしょうか、十秒くらい無言の時間が過ぎます。



「………失礼します」



(わっ、わっ!出てくる!?)


ボクはわたわたと柱の影に駆け込みます。


(ひゃうっ!コレ結構ピーンチです―ー!?)



コツコツコツコツ……。


足音は次第に近づき、ついにボクを見つけ立ち止まって声をあげ…!



(逆方向に行ってくれて助かりましたです…)


たりはせず、次第に遠ざかる足音を聞きながらボクはホッと一息をつき、今の会話について推理を始めていました。



(副会長が言ってた「会長は“誰か”を庇っている」って……一体何のことなんでしょう?)


それがわかれば全部分かるんですが、そんなに都合良くはいきません。


(仕事のミスとかでしょうか?)



でも“あの”会長がわざわざ庇おうとするような人がいるなんてにわかに信じがたいですし……。


(何かのスキャンダル?)


それはそれで燃えますが、そんなに重大な事柄を生徒会長とはいえ一人の生徒が握って隠し仰せるとは思えませんし…。


むー、全然わからない…。

少しボーッと考えていると、…ちょっと眠くなって来てしまいました。




でも気を抜くとやって来るのはやっぱりサプライズで。


ガラっ…!



(!!!!今度は会長!?)


また急いで柱の影に隠れます。



カツカツカツカツ…!


(しかもこっちに来る!?)


足音はかなり早く、どこか急いでいるような様子です。


(どどど、どうしたらっ…!?)


焦る間にも会長は近づいてきます。

必死で辺りを見回して、この危機的状況を打破する何かを探しますが、

……そんなもの都合よくその辺に転がってるなんて奇跡があるはず……。



その時視界に映ったものは!




「………」



カツカツカツカツ……。

カツン…。



「??何でこんなところに段ボールが置いてあるんだ?」


「…………(機能停止)」


「……まぁ、いいか。明日片付ければ」


カツカツカツカツ…。







――――回避成功しましたです。


何故あそこにス○ークさん御用達の段ボールが置いてあったのかは甚だ謎ですが、結果オーライです。


そのそばに医療キット×3とアルファベット三文字の粘土みたいなモノが置いてありましたが、それは装備せずちゃんと破棄しました。



「任務、完了…」


ヒイロっぽく小さく呟いた後、辺りに誰もいないことをちゃんと確認します。



さてさて。

ここで現れた選択肢は2つ。


・このまま職員室へ直行。←

・生徒会室にて健全な取材活動。





………。


ピッ。

無言で下を選択し、ボクは生徒会室の扉の前に立ちました。

く……こうやって立つとどことなく威圧感をひしひしと感じます。


(でも負けないです!!)


勢いよくバンッ!、とはいかずそっと静かに扉を開けて中へ。



きー…がたん…。

すると、初っぱなから第一村人…げふん、第一目標を発見です。



(カメラちゃんこんなところにあったんですか!)


放課後に来たときには気づきませんでしたが、部屋に入って右側すぐのガラス棚の中段辺りにちょこんとのってました。



急いで取り出して装備します。



……「めいちゅう」があがった気がしました。




(まぁ、それはいいとして)


ボクは第二目標探索に入ります。


資料庫。

膨大な量の紙で埋まっていて、もはや何だかわからない状態に。

→後回し。


没収品で埋まった棚。

ラインナップが明らかにカオス。

(機巧魔神の入ってそうなトランクケースに少年伯爵が入ってそうなトランクケースや仮面戦士の変身ベルトが覗くトランクケースなど)


……何でこんなにトランクばっかりなのかも謎です。

→後回し。






じゃあ残るは……


(机の上、ですか)


机上、それは部屋の半分に割るように設置された机にぽつんと置いてありました。


……あんまりにもあからさまで面白くないので、行数を稼ぐため…げふんげふん!、発見をドラマチックにするために最後にしたのです!



ペラリと置かれた一枚の紙。

ここに……秘密が?


“あの”生徒会長に一泡吹かせるチャンスでもあり、新聞部の汚名挽回のチャンスになるスクープ…!?

(※汚名返上、または名誉挽回です)




おそるおそる、手を伸ばします。


(ええいっ!一気にいっちゃえです!!)


パッ!!と紙を裏返すと、そこには予想通り、文字の羅列が。やっぱり機密文書か!……と思いきや、



(ん……?これは……『学校運営資金口座一覧』?何でこんなものが?)


そこにあったのは口座にあるお金の、しかもかなり大きな桁の資金の動きをプリントしたものでした。


(これが、機密です……?)



この表のどこに会長が誰かを庇う要素があるんでしょうか?

……謎です。もしかしたらこれもハズレなのかも。



(そう簡単にはスクープは手に入らない、ということです……?)



その紙を机の上に戻し、

諦めて生徒会室を出ようとした、

その時、

その瞬間に、



(ん?……んん!?)



その表の一部が、何かの不自然なことに気づきました。


(法人としての収支は合ってる……“けど”、この『綾波財団特別寄付金』って別の口座に全額振り込まれて……無くなってる?)



それは“多額のお金”、でした。

ボクの想像を超えた事柄に頭がクラクラするですが、頑張って資料を見ていきます。


(“生徒の学業振興を目的とする財団からの援助”。でも、実際には……)



学校運営に使われた形跡はゼロ。お金は何処かに横流しにされて消えている。

その、淡々とした事実。



(一体…誰がこんなことを?)


焦点はそこです。生徒会の二人の会話では、犯人の目星はついているような口振りでしたし……。


(校運営に関わる人なのは間違いないです。教頭から校長…理事会の“誰か”…。もしかしたら理事長自身とか?)



姿は謎とされる理事長。怪しさ満点。スクープ性満点の相手。


(こうしてはいられません!早速部室で記事を…!)


その時のボクは、水無月先輩達のことをすっかり忘れるほど興奮していました。




その罰が当たったのかもしれません。







ボクは背後に立つ人影に全く気づいていませんでした。




振り向こうとした時には、



もう、


口に布が押し付けられて、

何かの薬品のような匂いが鼻の中に広がって、

もがこうと手を必死に動かしても押さえつけられて、

だんだん……意識が朦朧としてきて、






そし、て……ボ……クは……。


<Start of DARK NIGHT...>

合格した~!


さて、急にシリアス展開です。

お金関係の話はドロドロして好きなのでノリノリで書きました。


続きはまた明日更新します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ