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懺・七不思議ラプソディ

 



「綾……波……!?」




それは普段ではほとんど見れない彼女の驚いた姿で。



「貴様っ!何があったんだあの理事会の決定は!?」



さらに完全に予想外の行動まで飛びだした。

体当たり、よりは突進に近い勢いで雫ちゃんが砲弾のように突っ込んで来たのだ!



「ぐふっ!?……イグナイデッド」


そのままザムザザーっと扉の外に押し出されるようにして転がる。


ぐああ、めがっさ痛いんですが!

そして何でマウントポジションをとるんですか雫ちゃん!?


「貴様、一体何をやらかした?財団のヤツラの不興をかうような事をまたやったのか?」


「げふ、げふ……。あー、あー、落ち着いて……」


「落ち着いてられるか!突然の降格人事など……貴様に何かあったのかとオレは心配してっ……!」


雫ちゃん怖いです。口から本気で火を吹きそうな勢いだよ~?


「や、や、ちょっと周りに目を向けてみなよ。3人が凄い顔してるから」


「は?………………あ」


今気づいた、みたいな顔をして雫ちゃん機能停止。

クール・俺様キャラで押してたのにそれは……ねえ?張りぼての外面がボロボロですよ?


唖然としているボクっ子とツンデレ娘と真面眼鏡くんの反応は一緒だった。


「『「知り合い!?」』」


シンクロリアクションな室内の3人。タイミングも息ピッタリですね。無駄に凄いよ。


「知り合い、というか、ねぇ?んー、雫ちゃんの中では僕ってどういう立ち位置(ポジション)?」


「オレに聞くな」


そう言ってプイッとそっぽをむく雫ちゃん。明らかに取り繕うとしている感が満載だ。でももうほとんど無駄だよね。後の祭りって感じでしかないし。


「じゃあ僕主観から説明すると、……んー、あれかな、ある時は伊藤 静と命の恩人。ある時は女王と魔王。そして今は……貸しプラマイゼロだよね、確か」


「……ああ」


短くうなずく雫ちゃん。

うん、あのお弁当には助かった。用意して~、と頼んだら急だったのに雫ちゃんは本当に翌朝作ってきてくれたのだ。

まぁ、味はなかなか残念だったけど。しかも床にひっくり返されちゃったしね。嗚呼、あれは不憫だったなぁ……。


「貸し?貸しってなんなのです?凄く弱味っぽいので知りたいのですが!」


ミハルちゃんが妙なところに食いついてきた。


「弱味って、本人目の前にして言っても仕方ないから……。それに大したことでもないよ?」


そもそも貸しなのかすらわからないねアレは。

逆にある意味、邪魔した立場だから別の不良のお礼参り的な“貸し”は適用されるかもだけど。


そんなんされたら……ヒィィっ!


「何だかやってもいないことで怖がられている気がするんだが」

「気にしたら負けだよ。負け具合でいったら働くのと同じくらい負けだから」

「どんな重症の自宅警備員だオレは……」



おお、久しぶりだけどこの会話リズムは健在だ。

うん懐かしい。去年は仕事の仕方とか雫ちゃんに教えてたりして結構一緒だったけど、最近はご無沙汰だったからなー。


なんて、ほんわか思い出してたら水無月さんに何故か睨まれた。

……にゃんで?



「……それで、一体何の用だ?ただお喋りに来たなどという訳でもないんだろ?」


気を取り直した、というより取り繕いが完了した雫ちゃんはいつも通りの調子だ。

嗚呼、その男言葉がいいっすね。俺様具合が滲み出てるよ。


「うん、今日は……調べさせて欲しい事があって」


「調べさせて欲しいこと?重要な用なのか?」


「んー、それは……」


重要……、なんだろうねぇ。

チラッとミハルちゃんを見ると、期待のこもったキラキラ視線を返された。


うわ、まぶしっ!


「まぁ、平たく言えばこの部屋を調べさせて欲しいんだけど」



「……生徒会室をか?」



そう言うと、何故か急に雫ちゃんの顔が変わった。


あれ?何ゆえマジモード?


「この部屋の何を調べる?」


「え?えー、そのー……」


「はっきりしろ。お前らしくもない」


「うーん……まぁ……」


何だかこのノリで七不思議を調べたいです~キラッ☆みたいなこと言ったら大変なことになりそうなんだけど。

首を締めて『貴様はいつもいつも訳のわからんことばかり……!!』とか普通にありそうなので怖いのです、僕は。


そんな風にコメントにつまっていたら突然、



「何だ?アレの事なら早く言えばいいだろうが……!」


「会長!」



深刻そうなご様子の会長さんと副会長さん。は……?何をそんなマジトーンで話してらっしゃるの?



うーん……



取り敢えず僕がすべき反応は……


「“アレ”って何?」


率直な疑問をぶつける事だよね。


「……それはシラを切っているのか、はたまた本当に知らない反応なのかはっきりしてほしいところだな」


「シラを切っているって答えたらどうなるの?」


一応聞いてみると、


「……死ぬ手前まで殴る」


「本当に知りませんっ!」


だから怖いです雫様。ブラックオーラが垂れ流しなんだもの。

“そんなところ”まで魔王に似せる必要は無いんだけどねぇ……。


「知らないならいい。あと捜索は不許可だ。さっさと寮に帰れ」


デレの一欠片もない、ツンツンの態度で拒絶された。ここら辺が鉄面皮と呼ばれる雫ちゃんの真骨頂なのだろうけど。


「……そんな風に言われると余計に気になるね」


食い下がってみると、


「部外者に教えることはありません。会長が立ち去るように言っているんですから早く帰ってください」




カッチーン。

何だその言い草は?


と、思ったのは僕だけではなかったらしい。



「今のはムカッと来たのです!あんた何様ですかー?」


「生徒会副会長ですがなにか?」



そう言ってつっかかるミハルちゃんに対して副会長くん(仮)は冷たく受け流す。


バチバチと火花が散るようにミハルちゃんと副会長くん(仮)の視線がぶつかり合うのを眺めながら、僕は色々と思考を巡らせていた。




“アレ”とは何なのか。


「ミハルちゃん、もういいよ。今日のところは帰ろう」


火花製造器の片方に撤収を持ちかけると、


「ナガル先輩!?このまま引いたら男がすたります!」


「君の中の男は逆にすたった方が良いと思うよ」


相も変わらず逸材だねこの子は。


「帰ってくれって“生徒会副会長サマ”が言うんだから、帰ってあげたらいいんじゃない?ねえ?副会長くん?」


「え……?あ、ああそうです。特に用事のない生徒は速やかに寮に帰ってください」


急に話をふると、杓子定規な返答が返ってきた。

……こっちはこっちで絶滅危惧種な少年だけれども。


「だってさ。じゃ、お邪魔したね雫ちゃん。」


「…………」



無視された。


▼精神的なこうげき!

▼綾波は58のダメージ!

▼綾波は逃げ出した!



「あっ、先輩!?」

「ナガルっ!?」


シュタタタタっと理科室に戻る途上、後ろから「廊下を走っては行けません!」との副会長くんの声が聞こえたけど無視の方向で。



そんな感じで放課後の探索は終了です。








“放課後”は、だけど。

あああ、明日は合格発表DEATH。

誰かヘルプ!!って感じなのですが、小説は明日も更新予定。


ハイペースに行きますよー!

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