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A drop in the water

このサブタイトルは某クリスタルヴォイスの歌姫が歌ってたパチンコの主題歌名なんですが、ものっそいマイナーなのにどうしてかすごく好きなので採用です。一度騙されたと思って聞いてみてくださいな。


「……」「……」「……」


くっ……む、……重い。


「来たなっ!プレッシャー!」ってギュ○イさんが感じる程の無言の圧力。重すぎる空気。どうしてこうなった?

状況を説明すると、


・右の椅子にシズクちゃん。

・左の椅子に水無月さん。

・中央に、…僕。


『両手に花』とはまさにこういうことを指すんだろうけど。…何でこんなに居心地が悪いんだろう。


水無月さんは、ひきつった笑いのまま固定だし。シズクちゃんに至っては、絶対零度(-273℃=0K)な無表情。

今の二人の状態といったら。

あれか、あれだ。

クシャト○ヤとクィーンマ○サが睨みあってるみたい。うん。元の意味は『戦士』と『女王』でバッチリだし。


「誰がク○ャトリヤなのよ!ってか何それ?」「誰がクィーン○ンサだ!人をMSに例えるのは止めろ!」


地の文にまたつっこみを入れられた。

何だろう……。二人ともこういう時の息はピッタリなんだけどね。

二人並ぶと学園二大美人が揃うから、クルーブレイカーにサバイバーでシールド五枚ブレイク!4000のダメージ!ずっと俺のターン!……みたいな?


「そんな鬼畜は知らん」「???」


あー、でもつっこみ性能で見るとシズクちゃんの方が上かな?


「あれ?……でもクィーンマン○ってMSなの?」

「知るか馬鹿」


でも反応が全体的に冷たい。




「それでー…、水無月さんはミハルちゃんを置いてきたの?」


気になってたことを夜ズバッと聞いてみた。特に他意はありません。


「わ、わざとじゃないし!だってこわ……コホン。気味が悪かったから」


「おお、反応がチョー可愛いんですけどー。ヤバくね?チョベリベ?」


「何で急にそんな言葉遣いになったのかは知らんがチョベリベは古い。じゃなくて。たしか……水無月、といったか?」


「えっ、あ、はい!」


急にシズクちゃんに話しかけられて、水無月さんがかなり緊張したのが見てとれた。

あれ?この二人これがファーストコミュニケーション?


「こんな時間に校内を彷徨(うろつ)くのは校則違反だと知っていたか?」

「……あ、はい……」

「しかもまだ校内に生徒が残っているのも確かだな?」

「……はい」

「明日生徒会室に来い。始末書を書いてもらうことになる」

「…………はい」


僕はポケーッとしてたけど、ふと見ると水無月さんが口パクで何か言っていた。ん?なになに?


(……私完全に巻き込まれて連れてこられてさらに始末書ってどんだけ報われないの?)

(あー、でもどっかの上条さんみたいにトラブルに巻き込まれまくるとハーレム形成できるよ?)

「んなこと知るか!」


おお、声にだしてつっこまれてしまった。

でも、水無月さんそのタイミングでそのセリフ……。


「…………ほう。良い度胸だな水無月茜。そうやって拒絶したのは貴様が初めてだぞ」


「え?あっ!いやそのちがっ……」


うわー、お約束?

僕は思わずニヤッとしてしまった、

のを、見られて水無月さんに脛を思いっきり何の容赦も慈悲もなく蹴られたのもお約束?


……大変痛うございました。



「んー…、じゃあミハルちゃんは今一人?」


「……ごめん」


「ん?それ僕に言っても仕方ないよ?」


――こんなことなら携帯のアドレス交換しておけば良かったなぁ、と今更ながら後悔。

しながらも。


ポチポチとさっきシズクちゃんに見せてた電子端末を操作する。目指す先は、


「『監視カメラの映像を再生』を選択。パスは……よし」


アクセス完了。

メディア再生。


と、思ったら、



『拒絶』



表示された二文字。


僕は最初、それの意味が分からなかった。


もう一度同じ手順を繰り返してみる。


「パスワードを入力。『拒絶』……やっぱり失敗(だめ)か」


パスワードが変更された?誰が?いつの間に?どうやって?セキュリティは全て書き換えたのに?

さらに中を確認すると、そこには驚きが待っていた。


女としての自分(Casper)からの拒絶どころじゃない。

残りの全ても侵食されたみたいなレベルの状況だった。


「……これはなかなかマズイかも知れない」


本心から、そんな言葉が漏れた。


「どうした?」


と、端末を覗き込んで来るシズクちゃん。


「うん。何か学園(うち)のサーバー全部支配されちゃったっぽい」


「……何?」


訝しげな表情をするシズクちゃん。


「それってピンチなの?」


そこに水無月さんが加わる。これでさらに密着して挟まれる形になってしまったんだけど、


……とかく顔が近い。


しかし、本当に綺麗なんですがこの二人は。

明るく華やかな水無月氏(うじ)と、クールビューティー桜野女帝。

……何か『ビューティー桜野』にすると整形クリニックの名前みたいだね、という妄言は呑み込んだ。


そんな二人に見つめられ、何となく顔が赤らむのを気にしながら、三度目のトライ、


「……あ」「にゃ」「え」


する、途上に急に別サイトに飛ばされた。

さらに最悪なことに、大量の無駄情報によって端末がフリーズする。


(セキュリティ?……いや。これは明確な攻撃、か?)


なすすべもなく手を止め、ちょっと考える以外ほかにない。

こんな芸当をするなら相手はもっとスペックが高い機材を使っているのだろうか?


(そうなるとこんな端末じゃ太刀打ち出来ないし……。どうする?)


勝てるか?いやそれ以前に勝負にすらならない可能性すらある。



「……しかし、こうなると相手の『背反』は決定的、か」


明確に攻撃対象が理事長(ぼく)だってわかってるかは知らないけど。

あまつさえこれだけのことをやってのけたのだから。これは完全な反逆、だろうねぇ。



「あのー…、ごめん。場違いかも知れないけど聞いて良い?」


その時、おずおずと水無月さんが手を挙げた。


「んん、何?」


「……その『相手』ってのは誰なの?」


「…………」


「え、なにその空気詠めよ的な目は!し、仕方ないじゃない私途中参加だし!」


「……はぁ。その設定はもうシズクちゃんに説明済みだからそっちから聞いてくださいな」


全く。もうバレバレな黒幕で引っ張ってもしゃーないって言うのに。

嘆息しながら端末を弄っていると、……静かになった。

チラッと、シズクちゃんの方を見ると、……何で見つめ返しなさるの桜野さん?


そこでトドメの一言。


「……俺も分かって無いんだが」


…………。


ふう、と息を吸う。


「一回しか言わないからよく聞いてね。……て言うかもうすぐ会いに行くけど」


犯人は――


それを告げるために口を開いたまさにその瞬間、

……タイミングどんだけ良いの?と問いたくなるような時に、


『ジ、ジジジッ。ザザ、ザーザー……』


突然、天井のスピーカーから響く音。


「ナガル、お前か?」

「違うよー。でもこれはたぶん……」


今回の『相手』。この学園を僕よりもずっとよく知る人。そしてこれはその人からの――





『ザザッ、ザー……まだ校内に生徒は残っているかの?』





宣戦布告?

区切りのいいところで切ったら一章分にしては短くなってしまいました。

ラストバトル突入です。次の更新はたぶんすぐなので悪しからず。

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