第八話 清水のミニ四駆大会
第八話です。
ついに駿府スピリッツの初大会が始まります。
舞台は清水の模型店。平成のミニ四駆ブームらしい、少し騒がしくて熱気のある空気を描いていきます。
世那たちのチームがどこまで通用するのか、楽しんでいただけたら嬉しいです。
日曜日の朝。
清水の商店街は、思ったよりも賑やかだった。
シャッターが半分開いた店。
焼きたてのパンの匂い。
遠くから聞こえる自転車のベル。
そして、その一角だけが異様に騒がしい。
「うおおおお!!」
「速えええ!!」
「飛んだ!!」
少年たちの歓声が響いていた。
私はその店の前で立ち止まる。
看板には大きく書かれていた。
ミニ四駆大会 開催中
私は小さく息を吐いた。
「ここか」
後ろから声がする。
「すげえ人だな」
振り向くと、駿府スピリッツのメンバーが並んでいた。
みんな少し緊張した顔をしている。
黄色いマシンの少年が言う。
「こんな大会初めてだ」
別の少年も周りを見回す。
店の中には、大きなコースが設置されていた。
三レーン。
カーブ。
ジャンプ台。
そして、その周りを囲む大勢の子どもたち。
平成のミニ四駆ブーム。
その熱気が、そこにあった。
「ビビってる?」
私は笑いながら言った。
少年が首を振る。
「……ちょっとだけ」
私は言う。
「大丈夫」
「ミニ四駆はね」
少年たちがこちらを見る。
「いつも通り走らせればいい」
そのときだった。
「お」
聞き覚えのある声。
健太だった。
腕を組んでこちらを見ている。
「来たじゃん」
少年たちが少し身構える。
健太の後ろには、三人の少年が立っていた。
どのマシンも、かなり改造されている。
私は小さくつぶやく。
「チーム?」
健太はうなずいた。
「清水スピードスターズ」
少年たちがざわつく。
「やっぱり……」
「強いとこだ」
健太は私を見る。
「準備できてんの?」
私は答える。
「それなりに」
健太は笑った。
「楽しみだな」
そのとき、店の奥から声が響いた。
「そろそろ受付締め切るぞー!」
大人の声だった。
店長らしい人が手を叩いている。
「大会出る人は名前書けー!」
少年たちが一斉に動き出す。
私はチームのメンバーを見る。
「行くよ」
黄色いマシンの少年が深呼吸する。
「よし」
青いマシンの少年も言う。
「負けねえ」
私は少し笑った。
そして受付用紙を手に取る。
名前を書く欄。
チーム名の欄。
私はペンを走らせた。
駿府スピリッツ
書いた瞬間、少しだけ胸が高鳴った。
平成のミニ四駆ブーム。
駿府スピリッツ。
そして――
私たちの最初の大会が、いよいよ始まろうとしていた。
第八話を読んでいただきありがとうございます。
ついに大会編が始まりました。
清水の強豪チーム「清水スピードスターズ」も登場し、ここからレースが本格的に始まります。
次回はついに大会のレース回になります。
駿府スピリッツがどこまで通用するのか、楽しんでいただけたら嬉しいです。
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次話もぜひ読んでいただけたら嬉しいです。




