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歴代最弱と呼ばれる魔王になってしまいました  作者: ニンジン


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2/2

俺って歴代最弱の魔王らしい←どうしてこうなった

久しぶりに筆がのりました。

 それから数分も経たないうちに彼女がやってきた。


「準備ができましたので、案内させて頂きます。それでは私についてきてください。結構この屋敷は大きいので、くれぐれもはぐれないようにしてくださいね魔王様」


「迷子にならないように気をつけるよ」 


「はい。そうしてください」


 そうして俺は彼女に案内されながら食堂へと向かう。


「そういえば記憶喪失なんでしたね。それでは私の名前も覚えていないのですか? 」


 彼女は歩きながらも俺に話しかけてくる。


「ごめんね。君のことも何も覚えてないや」


「なら、覚え直してください。私はルナです。以後よろしくお願いします魔王様」


「うん、よろしくね。それでなんだけど魔王様ってさっきから呼んでるけどさ俺の名前って何なの? 」


「自分の名前も覚えてないのですか? 」 


「ごめんだけど覚えてないね」 


「はぁ…そうですか。あなた様の名前はユート・ヒルトガルド様ですよ。ちゃんと覚えてくださいね」


 どうやら俺の名前はユート・ヒルトガルドと言うらしい。ユートの部分はなんか日本人ぽくてしっくりくるんだけど、やっぱり異世界だからなのかはわからないけれど、ミドルネームみたいなのがあるらしい。しかし、やはりというか魔王というのが気になる。

 まぁ、ここらへんは朝食の時にでも聞くとしようかね。


 そんなことを思っていると、どうやら食堂に着いたらしい。


「それでは朝食をお持ちするのでコチラでお待ちください」


 彼女はそう言うと台所と思わしき所へと消えていった。


 どういう食事が出るのだろうか。非常に楽しみだ。魔王というくらいだし、豪華なものが出るんだろうなきっと。転生する前は贅沢なんて月に1回できるかどうかぐらいだったし、楽しみで仕方がない。


 そう思っていたのだが、現実はそう上手くはいかないらしい。出てきたのはカピカピのパンと味の薄いスープだ。辛うじて食べることはできるもののおよそ人が食べるものとは思えない代物である。


「ねぇ…ルナ。聞きにくいけどなんでこんな質素なの。魔王というくらいだからさもっと豪華なもの食ってると思ってたよ」


「はぁ…そこも忘れているんですね。魔王と言ってもこの世界には魔王はあなた様を含めて8人います。8人にはそれぞれ序列があります。まぁ、そうですね。簡潔に言えば魔王様は序列が一番下なのです」


「序列が一番下なのは分かったけど、それとこれとは別じゃないの? 」


「そうですね。こんな質素なのにはほかに理由があります。端的に言えば魔王様になんの能力もなく、魔法も使えないからですね。普通魔族であれば何かしら能力と特化した魔法を使えるんですが、なぜかそれが魔王様にはありません。それ故、皆様からは歴代最弱の魔王と呼ばれています。というか魔王様はステータスで言えば人族の子供にすら勝てません。そんぐらい低いです」


 へ? 歴代最弱? 人族の子供にすら勝てない? はははははは…またとんでもないやつに転生してしまったらしい。どうしてこうなった。チートで無双できるって思ってたのに…。


「それ故でしょうかね。この家に仕えていた者は私を除いて誰一人としていなくなりました」


「え…マジで? 」


「はい、大マジです」


「ていうか、そんなんでよく魔王になれたね」


「ホントそうですよね。それについては魔王様のお父様のお陰だと思いますよ。お父様は歴代最強と呼ばれていて、発言力もつよい方でした。その方のとてつもない推しがあったからこそ、あなた様は魔王になれています。それがなければあなた様は魔王の器とは言えないでしょうね。」


「酷い言いようだね」


「事実ですから」


 しかし、こうなってくると話は別だな。歴代最弱か、しかもステータスでは人族の子供にすら負けているらしい。どんだけ弱いだよユートくん。けど、弱いということはこれ以上、下がないと言うことだ。つまり、これからは上がることしかない。確かにこのユートくんには才能なんてないかもしれない。しかし、ユートくんのお父さん魔王の器になれると期待してくれていた。


 今の俺はユートくんではないけれど、お父さんの思っていた理想の魔王に近づくことぐらいはできるはずだ。いくら最弱といえど努力は実を結ぶ。こうなれば目標は決まった。魔王にふさわしい男になる。それがここしばらくの目標となるだろう。


「ねぇ、ルナ。俺頑張ってみるよ」


「頑張るですか? 」


「そう、そんなにお父様が期待してくれていたならそれにふさわしい男にならなきゃだよね。だからそのために頑張るの」


「はぁ…そうですか。頑張ってくださいね」


 その会話が終わる頃には俺は朝食を食べ終えていた。


「あぁ、そうでした魔王様。そろそろ資金が尽きそうなので何とかして稼がないと頑張る前に飢え死にしますよ。私共々。」  


「いや、それを早く言ってよ」


「手っ取り早く稼ぐなら魔物退治ですね。まぁ、魔王様にそれができるとは思えませんがね」 


「領民とかから税金を取ったりできないの? 」


「先代の魔王様のときはそれが可能でしたが、今のこの魔王領では無理ですね。領民は誰一人としていません」


 なにそれ詰みゲーじゃん。どうすればいいのさ。


「それでは私はお仕事があるのでこれで失礼しますね」


「あぁ、またね」


「そうですね…また後ほど」


 ルナと別れを告げた俺はそのまま自分の部屋に戻ったのだった。





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